Netflix韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は、「あっ、この人見たことある!」の宝庫だ。その回にしか登場しない役にじつにいい俳優が当てられていて、感心しきりだった。そのなかでも筆頭が、第4話でウ・ヨンウ(パク・ウンビン)の高校時代からの親友トン・グラミ(チュ・ヒョニョン)の父を演じたチョン・ソギョンだろう。
けっして豊かとは言えない毛量、明確な特徴のない目鼻口。どちらかというとボソボソしゃべる役が多い。笑うとかわいい。彼こそが “となりのおじさん” 国家代表である。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の4話では、韓国の「長幼有序」(年上の者と年下の者の間に厳然と存在する上下関係)を盾に兄たちから圧迫される気弱な農家の男を好演。言いたいことも言えず、ストレスを抱え込む小市民役はチョン・ソギョンの本領発揮といえる。
チョン・ソギョンは1970年12月31日生まれ。映画デビューは2000年で、出演作は40本以上。主役や準主役の近くにいる役が多いので、名前は思い出せなくても日本の人にその存在は認知されているはずだ。
ドラマではイム・シワン主演作『未生~ミセン~』(2014年)のファン部長役を覚えている人も多いだろう。ほかにも、ナムグン・ミンとジュノ(2PM)出演作『キム課長とソ理事 ~Bravo! Your Life~』(2017年)、『ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士です』(2021年)、Netflix最新作『田舎街ダイアリーズ』など、数多くのドラマに出演している。
今回は彼が出た映画を通して、”となりのおじさん” チョン・ソギョンの魅力を探ってみよう。
■イ・ジュンギとともに旅芸人を演じた『王の男』
初めてチョン・ソギョンを認識したのは、イ・ジュンギの妖艶さが際立った大ヒット映画『王の男』(2004年)の芸人役だ。このときは長髪に鉢巻を巻いていたので、毛髪の特徴は印象に残らなかったが、笑顔のかわいらしさは格別。相棒役ユ・ヘジンとともになかなかの三枚目ぶりだった。太鼓を叩くシーンもあったが、彼は伝統音楽に親しむ人の多い全羅南道(羅州)の出身なので、手慣れたものだったろうと想像する。
なお、このときもう一人の相棒に扮していたのはイ・スンフン。名前を言われてもピンとこないかもしれないが、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』14話で済州島の「幸福ククス」社長を演じた人だ。