■ソドク洞村長に扮したチョン・ギュスの部下を演じた『ラジオスター』
強く印象に残ったのはその翌年に公開された『ラジオスター』(2006年)だ。彼の役どころは、チョン・ギュス(『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』7~8話の村長役)扮する放送局の地方支局長の部下でエンジニアだった。
新たなラジオ番組のためにソウルからやってくる問題児の歌手(パク・チュンフン)とマネージャー(アン・ソンギ)を最初は敬遠している風だったが、少しずつ心を通わせていくグラデーションの演技がみごとだった。
■歌手役チャ・テヒョンのマネージャーを演じた『覆面ダルホ~演歌の花道~』
数ある出演作のなかでも、もっとも笑わせられたのが『覆面ダルホ~演歌の花道~』(2007年)だ。チョン・ソギョンは覆面歌手ダルホ(チャ・テヒョン)のマネージャー役。あるときダルホが有力者(チェ・ギヒョン)とその娘に素顔を見せてくれと言われ、やむなく覆面を脱ぐと、頭髪の少ないさびしげな中年男が現れ、有力者とその娘はギョッとする。それは地方公演中だったダルホの替え玉になったマネージャーだったのだ。
有力者は言った。「覆面歌手の正体は死ぬまで明かさぬように」
チョン・ソギョンの容貌をこれだけ生かしきった場面を私は見たことがない。
■数少ない〇〇を演じた『最高のパートナー』
『最高のパートナー』(2008年)でチョン・ソギョンが演じたのはアン・ソンギ扮するベテラン刑事の部下。お人好しの役が多く、鋭さには乏しいので、刑事役自体が珍しい上に、彼の演技歴のなかでも極めて異質な役どころである。ネタバレになるので詳しくは書けないが、こんな役も演じられるのかと驚くこと必至である。