■ハン・ジョンウの人間味あふれる演技が見られる『素晴らしい一日』
『素晴らしい一日』(2008年/イ・ユンギ監督)は、ハン・ジョンウが前年の『チェイサー』の殺人鬼と同一人物とは思えない、人間味をたっぷり見せてくれる作品だ。
元カノ(チョン・ドヨン)に借りた金を返すために、元カノといっしょに友人知人に金を借りて歩くというユニークな設定だ。終始不機嫌な元カノとお調子者のハ・ジョンウのコントラストがみごと。この2人の会話だけで成立しているといってもいい稀有な映画である。原作は日本の小説『素晴らしい一日』(平 安寿子著)。
■ハ・ジョンウの演技の幅に驚かされる『よく知りもしないくせに』
『よく知りもしないくせに』(2008年/ホン・サンス監督)のハン・ジョンウは、ほんのちょい役なのだが、彼の演技の幅に驚かされた作品だ。
済州に住む老画家(ムン・チャンギル)の若妻(コ・ヒョンジョン)と主人公(キム・テウ)のややこしい場面を目撃した老画家の弟子をハ・ジョンウが演じた。
見せ場は主人公を問い詰めるシーン。相手が言い訳できないのをいいことに、正義漢づらして容赦なく責め立てる演技には笑ってしまった。
■スポーツコメディ『国家代表!?』、号泣シーンも
『国家代表!?』(2009年/キム・ヨンファ監督)でハ・ジョンウが演じるのは、子供の頃、海外養子に出された在米アメリカ人。『素晴らしい一日』同様、ハ・ジョンウの人間味が堪能できる作品だ。
スキージャンプ競技で1996年の長野冬季五輪に出場する話がメインなのだが、もうひとつの見せ場は離別した母との確執。ラストシーンで母にメッセージを送る場面で号泣した韓国人は少なくない。
興行的にも大ヒットして、百想芸術大賞の作品賞や男性最優秀演技賞(ハ・ジョンウ)など、数多くの賞を受賞するなど、高い評価を受けた。
なお、この映画にはハ・ジョンウの父、キム・ヨンゴンも五輪の組織委員長役で特別出演しているので、そこにも注目である。