■『ナルコの神』のラーメンとキムチ

 Netflixドラマ『ナルコの神』には、スリナムの刑務所に入れられた主人公(ハ・ジョンウ)が、子分として手なずけた外国人受刑者数名と、どこで手に入れたのかカップの辛ラーメンをすすり、キムチをむさぼるシーンがあった。

 このときは、対抗するグループをやっつけるために子分たちに気合を入れる場面だったので、辛いラーメンやキムチが大変似つかわしかった。

韓国人にとってラーメンは火、ソジュは油かも

 この場面で思い出したのは、同じハ・ジョンウが主演した韓国映画哀しき獣』だ。本作には、中国の朝鮮族の手下とともに韓国にやってきたヤクザのボス(キム・ユンソク)が、潜伏先で牛の脚の肉を骨ごと煮て、手下とともに無言でしゃぶりつく場面があった。これも彼らのある恐ろしい目的のために気合を入れ、結束力を高める場面として説得力があった。

 我が国では家族のことを食べる口「食口(식구/シック)」という。血がつながっていようがいまいが、ともに食べる者は家族同然なのだ。

 そんなことを意識しながら、韓国のドラマや映画の飲食シーンを観るのも一興だろう。