キム・ヘスが貫禄たっぷりのファリョン王妃に扮し、キム・ヘスクが対立する大妃(テビ)をおぞましく演じている。2人が相対するときの緊張感が凄まじい。存在感が際立つ2人の女優が、朝鮮王朝の最高峰の女性同士として火花を散らす……韓国時代劇シュルプ』のとっておきの名場面だ。韓国tvNで毎週土日放送、日本でもNetflixで同日配信されている。

 キム・ヘスとキム・ヘスクの対決姿勢が鮮明なこのドラマは、大妃、王妃、側室、王子たちの動向が詳しく描かれている。

 史実に基づいていない架空の話なので、歴史的な事実に限定されないでストーリーを紡げる。その自在性に注目したい。

■『シュルプ』に登場する女官の品階、側室の品階とは?

 もともと朝鮮王朝を舞台にした時代劇は王宮内の権力闘争を描く宮廷劇が多いのだが、『シュルプ』は特にたくさんの王子が登場して、その育てられ方にスポットが当たっている。今までの時代劇にはない斬新な視点があり、スケールが大きい映像と共に『シュルプ』は空に鳥が飛び立つような躍動感を持っている。

 実際、『シュルプ』を語ろうとすれば様々なことに触れなければならないが、今回は焦点を「内命婦(ネミョンブ)」に合わせて説明したい。

 内命婦とは女官の中で品階を持つ人を指す言葉であり、広義には女官がいる組織そのものも「内命婦」と呼ばれた。その中で上位を占めているのが側室だ。

『シュルプ』にもたくさんの側室が出てくるが、品階がわからないと人物の関係性を特定できないので、まずは側室の品階を整理してみよう。

『シュルプ』画像出典:tvN