主演映画『別れる決心』(パク・チャヌク監督/2022年)が韓国映画界で最も権威のある「青龍映画賞」で7冠を達成し、脚光を浴びている俳優パク・ヘイル。 “静寂のカリスマ” とでもいうべき独特の存在感で、「代役が成立しない個性派俳優」とか、「女優が共演したがる俳優ナンバーワン」などといわれたりする。

 パク・ヘイルは2001年に映画デビュー。2003年には映画初主演を果たし、すでに35作に出演している。キャリアが豊富なので、イ・ビョンホンファン・ジョンミンら1970年生まれ組と同世代くらいかと思っていたが、1977年 1月 26日生まれの46歳(満年齢)だ。これからが円熟期といえるだろう。

 ソル・ギョングとともに筆者が大好きな俳優の一人である。今回はパク・ヘイルが主演した映画(2003年~2004年)を振り返り、彼の魅力を再確認していこう。

2019年に日本で封切られた主演映画『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』(2014年)の公開前インタビューを受けるパク・ヘイル。共演はシン・ミナ。同作は日本でDVD発売中。写真提供:A PEOPLE

◼️悩ましい若者を静かに演じた『嫉妬は私の力

『嫉妬は私の力』(2003年)でパク・ヘイルが演じるのは、恋人を奪った妻帯者(ムン・ソングン)に嫉妬半分、羨望半分でつきまとうが、新たに好きになった年上の女性(ぺ・ジョンオク)まで妻帯者に奪われる悩ましい若者だ。

 同時に下宿先の大家の娘(ソ・ヨンヒ)に惚れられ、関係してしまい、終盤では妻帯者の娘(キム・コッピ)との関係まで予感させた。そんな難しいキャラクターを25歳のパク・ヘイルが静かに演じている。同時期の主演作『菊花の香り ~世界でいちばん愛された人~』(2005年)もそうだが、早くも “静寂のカリスマ” が確立されているのがすごい。