■『シスターズ』の ”恐怖女帝” オム・ジウォンが演じた酒戦争

『エージェントなお仕事』のホ・ソンテとクァク・ソニョンの酒戦争を見て、ある映画の飲酒場面を思い出した。

 ホン・サンス監督作品『よく知りもしないくせに』(2009年)だ。この映画では、 キム・ゴウン主演ドラマ『シスターズ』で ”恐怖女帝” を強く印象付けたオム・ジウォンが、映画祭コーディネーターに扮してセクシー女優と酒戦争を繰り広げた。

 種目はウイスキーのオンザロック。睨み合い、舌戦を繰り広げ、恨みがましい目で離脱する者たちを見送りながら、互いのグラスにウイスキーをどぼどぼと注ぐ飲酒映画史に残る凄まじい戦いだった。

 負けたのは、「私は男の人と飲んで先につぶれたことがないの」と豪語していたオム・ジウォン。トイレに駆け込む彼女を見届けたセクシー女優がガッツポーズを決める。二人のあいだにレフェリーのように座った映画監督役のキム・テウが呆然とする。

 オム・ジウォンはこの夜の出来事を根に持って、後日なぜかキム・テウに怒りをぶつける。哀れなキム・テウ。

 アフターコロナ感が顕在化し始めた2022年末、韓国でも日本でも飲む機会が増えているが、酒は楽しく飲みたいものだ(自戒を込めて)。