また、ドンウンの復讐に追い込まれていく加害者たちの怪演も目を引くポイントだ。救いようのない卑劣さにイラつかされる一方、ドンウンの策でじりじりと地獄へ落とされていく彼らの困惑と怯えっぷりは、観ていて病みつきになってしまう。

 加害者の筆頭でねじ曲がった性格の気象キャスター、ヨンジンを演じるのは、イム・ジヨン。『上流社会』や『ウェルカム2ライフ~君と描いた未来~』など明るく前向きなキャラクターのイメージがある彼女だが、本作では人として芯から腐った役どころに徹し、“愚かな人間”を体現している。

Netflixシリーズ「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」独占配信中

 同じくいじめの主犯格ジェジュンを担うのは、『サイコパス・ダイアリー』でも弱者ばかりを狙う殺人鬼役で強烈な印象を残したパク・ソンフン。親の財力を頼りに傍若無人に生きてきたどうしようもない“クズ男”ぶりが憎々しく、そんな彼がドンウンの罠に落ちていく様が痛快で仕方ない。

 ほかにも、いじめの加担者で、加害者集団の“下っ端”ヘジョンを、『アゲイン・マイ・ライフ〜巨悪に挑む検事〜』での巨悪の側近兼冥途の使者役も印象的だったチャ・ジュヨンが巧演。強者の陰で甘い汁を吸おうとする卑屈キャラを面白いほどリアルに演じている。

 さらに圧巻なのは、ヨンジンの高校生時代を演じたシン・イェウンだ。1998年1月18日生まれの彼女は、成均館大学演技芸術科で学ぶ高学歴女優(大学の同期はASTROチャウヌ)。『おかえり~ただいまのキスは屋根の上で⁉~』や『2人の恋は場合の数』などでロマンスのヒロインを演じ、ディズニープラスで配信中の『代理リベンジ』ではいじめの被害にあった兄の復讐を誓う主人公に扮し、高い評価を得た。本作では正反対の立ち位置である加害者役を迫真の演技で見せていて、驚かされる。

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 加えて、なにより気になるのは、ヨンジンの夫で大手建設会社の社長ドヨン役のチョン・ソンイルだ。頭脳派で冷静沈着な実業家の彼が、精神レベルの低いヨンジンの夫であることが不思議なくらいだが、そんなことはさておき、彼がドンウンの計画により彼女に徐々に惹かれていく様がスリリング。ヨンジンの家庭を崩壊させていくのかと思うとワクワクしてしまう。

 演じるチョン・ソンイルは1980年2月3日生まれで、『バッド・アンド・クレイジー』や『秘密の森2』などで注目された舞台出身の実力派。ミュージカルでも活躍するなど演劇界では有名な俳優で、近年はドラマにも進出し、『花が咲けば、月を想い』などにも出ている。本作では、ドンウンと囲碁を通じて距離を近づけていくが、敵か味方か、ミステリアスさも合わせて気になるインテリ渋イケメンだ。

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 ほかにも、ドンウンと秘密の取り引きで共謀関係となる、もうひとりの暴力被害者ヒョンナム役のヨム・ヘランも妙味。『トッケビ〜君がくれた日々〜』や『椿の花咲く頃』などで知られる名脇役が、ソン・ヘギョと紡ぐ“奇妙な絆”も見逃せないポイントだ。

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 ヨンジンの娘イェスルが物語唯一の癒やしだが、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』でウ・ヨンウの子役時代を演じたオ・ジユルが本作でも愛らしい存在に。

 名脚本家キム・ウンスクならではの気の利いた、時にドキッとさせられる会話劇。さらに『アルハンブラ宮殿の思い出』『秘密の森』のアン・ギルホによる、硬質の演出もより強固な世界観を作り上げている。

●配信情報

Netflixシリーズ『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』独占配信中 ※パート2は3月配信予定
[2022年/パート1全8話]脚本:キム・ウンスク 演出:アン・ギルホ 出演:ソン・ヘギョ、イ・ドヒョン、イム・ジヨン、ヨム・ヘラン

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