このシリーズ連載「韓国の道民性」では、日本のみなさんが “推し” や、ドラマや映画のキャラクター理解を助けるような材料を提供するため、我が国の道民性について語っている。
今回は全羅道の人々を知るためのエピソードを紹介しよう。
■韓国全土からの観光客と接してきた済州のタクシー運転手さんの話
私は2007年から2008年にかけて、『韓国「県民性」の旅』という本の取材で全国を回っていた。
ソウルから南下しながら各道を取材し、最終目的地・済州道でタクシーに乗っているときのこと。
筆者「済州には全国各道から観光客が来るでしょう。それぞれの個性を感じることはありますか?」
運転手さん「ありますよ。慶尚道と全羅道は全然違います。お客さんを乗せて観光スポットを回るんですが、目的地に着くと『はい降りますよ~』という調子で記念写真だけパッと撮って、『はい、運転手さん次のとこへお願いします』って感じなのが慶尚道の人。まあ、運転手兼ガイドにとってはラクなお客さんなんですが、ちょっと物足りなくもありますね。
一方、全羅道の人は、知的好奇心が旺盛というか、あれこれ質問してくるし、景色を見るにしてもじっくり鑑賞する印象です」
運転手さんのざっくりした印象なのだろうが、すべての道の人たちと車内という個室で言葉を交わす機会の多い人の言葉だけに、説得力がある気がした。