ソ・イングクには特別な愛着がある。

 彼がチョン・ウンジと一緒に主演した『応答せよ1997』は我が韓国ドラマ視聴のベスト5に入る傑作であり、何度も繰り返し見ても決して古びない輝きを持っている。このドラマでソ・イングクは釜山の武骨な高校生を演じていて、一途に初恋を守り抜く抒情性も見せていた。

 それ以来、彼は演技の幅を広げ、最新ドラマの『美男堂の事件手帳』でも愛嬌があって憎めないキャラを痛快に演じていた。

 そんな彼が悪役を演じるという。それが映画『オオカミ狩り』であり、全身にタトゥーを入れた極悪人の国際手配犯ジョンドゥに扮した。

『オオカミ狩り』ソ・イングク

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■主演ソ・イングクが強烈な個性を放つ!映画『オオカミ狩り』

 韓国の俳優は多様性のある演技力を重視する。そういう意味でソ・イングクの悪役も十分に納得できるのだが、それにしても、ジョンドゥの残忍な犯行は身の毛がよだつほどだ。実際、16キロも増量して完璧に役になりきっていた彼の俳優魂は凄まじい執念を感じさせた。

 こうしてソ・イングクが強烈な個性を見せた『オオカミ狩り』は、フィリピンに逃亡した極悪犯罪者たちを捕らえて釜山に送還する貨物船が舞台になっている。凶悪犯罪に慣れた警官が多数警護していたにもかかわらず、内通者によって船内が大混乱に陥り、凄惨な殺し合いが延々と続く……。

 さらに、船内にいた恐ろしい「怪人」が目覚めて暴れだして貨物船は地獄と化す。そんな状況の中で、誰が生き残っていけるのか。映画は予断を許さないサバイバル・ゲームが展開されていく。