高速道路で暮らすホームレス一家と、家具屋を営む裕福だがワケありの夫婦。相反する2つの家族の出会いが引き起こす、衝撃の展開を描いた話題の韓国映画高速道路家族』(公開中)。

太陽を抱く月』や『ヘチ 王座への道』など“韓国時代劇の貴公子”としても人気のチョン・イルが、ホームレス一家の家長ギウというこれまでにない役どころに挑み、強烈な印象を残している点でも注目だ。昨年の釜山国際映画祭でも称賛を受けた本作について、主演のチョン・イルに話を聞いた。(記事全2回のうち、後編)

●チョン・イルProflile

 1987年9月9日生まれ。2006年、大ヒットシチュエーションコメディ『思いっきりハイキック』のユノ役でデビューし、一躍人気を得る。その後、『美男<イケメン>ラーメン店』『太陽を抱く月』『夜警日誌』など、現代劇・時代劇、シリアスからラブコメディまで幅広く活躍。近年の主演作として、『ヘチ 王座への道』(2019年)、『夜食男女』(2020年)、『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』(2021年)、『グッジョブ』(2022年)などがある。

撮影:新妻和久

■韓国映画『高速道路家族』主演チョン・イルが語る「家族を守る」ということ

――今回、ホームレス一家の家長を演じましたが、父親としてのギウはどう思いましたか?

 理想の父親像とは違わざるを得なかった、そうなれない環境に置かれていたのだと思います。一般的な視点から見れば、安定した住処もなく子供に犠牲を強いている父親ですが、ギウにとってはあれが家族を守る最善の方法だったんじゃないかと。社会的に置かれた状況を考えるととても不憫ではありました。ただ、演じる側としては、ギウにとってはどの行動も正当なものと理解した上で演じるように努めましたね。

――子役とのシーンも印象的でしたが、ご自身のなかで父性が芽生えたり、新たな一面を発見したりといったことはありましたか?

 子供たちの考え方や行動というものは、大人の視点から見るとなかなか理解できない面があったりするものですよね。でも、ひとたび子供の視線になって考えてみると、すぐに子供たちと仲良くなれたんです。同じ視線に立つだけで、コミュニケーションはこんなにも変わるものなんだなぁということに気づきましたね。

――イルさん自身がお父さんだったら、すごく楽しいお父さんになりそうですね。

 ははは。まだそういったことは考えたこともないですが(笑)。

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