――近年、韓国でも多くのスリラーが作られていますが、冷たい中に静かな情熱を感じる『告白、あるいは完璧な弁護』は、ほかの作品とは少し違った印象を受けました。どんな意図を持って作られていったのでしょうか?

 韓国だけでなく、こういったジャンルの映画はテンポが早く、カメラの動きも派手なものが多いと思います。私はそれとは少し違った、最初は静かでゆっくりしたペースに見え、だんだんストーリーが積み上がっていき、やがてクライマックスを迎えるようなものを作ってみたかったのです。

――ユ・ミンホが滞在する別荘のシーンなどは平昌オリンピックも行われた江原道で行われたそうですね。撮影中に大変だったことはありますか?

 ある程度雪が積もるだろうと予想しながら冬に撮影したのですが、私たちが撮影を行った19年の冬に限って本当に雪が降らなかったんです。そのため人工雪をたくさん使わなければならず、時間もかかって苦労しました。また、別荘の場面を撮影する時、ジソブさんがひどい風邪を引いて3日くらい声が出なかったことがありました。できるだけセリフのない、表情を主に撮れるシーンを撮りましたが、体力的に大変だったと思います。

●ユン・ジョンソク監督プロフィール

 1971年生まれ。キム・ガンウ主演の海上犯罪スリラー『マリン・ボーイ』(09)で長編デビュー。『告白、あるいは完璧な弁護』でポルト国際映画祭監督週間部門最優秀監督賞を受賞。

●映画『告白、あるいは完璧な弁護』ストーリー

 妻に隠れて付き合っていたセヒ殺害の容疑者となったIT企業社長ユ・ミンホはどんな事件でも無罪を勝ち取ると評判の弁護士シネの助けを得て、自らの潔白を証明しようとする。彼が滞在する別荘を訪れ、事件について詳細を聞き始めたヤン・シネは殺人事件の裏に、ある人物がかかわる別の事故が隠されていることを指摘しミンホを驚かす。

●映画公開情報

『告白、あるいは完璧な弁護』

6 月23 日(金)よりシネマート新宿 他 全国順次ロードショー

[2022/韓国/105分]監督・脚本:ユン・ジョンソク『マリン・ボーイ』

出演:ソ・ジソブ、キム・ユンジン、ナナ(AFTER SCHOOL)、チェ・グァンイル

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