今年で韓流20周年。そのブームのきっかけを作った『冬のソナタ』は、「四季シリーズ」というシリーズの1作である。

「四季シリーズ」とは、“冬ソナ”を演出したユン・ソクホ監督が手掛けた、四季をテーマにした4作のこと。『冬のソナタ』のほかに『秋の童話』『夏の香り』『春のワルツ』がある。

 はじめからシリーズありきで制作を始めたわけではなく、監督が1作目の『秋の童話』の放送後に次回作を考えていた時に、次の作品の放送予定が冬だったため、「それなら四季ごとにシリーズ化しよう」とふと思いついたのだとか。

 はたして、この4作、今観たら、面白いのかどうなのか。

 韓流20周年ということで、久々に観返してみた。作品は、『秋の童話』(2000年)→『冬のソナタ』(2002年)→『夏の香り』(2003年)→『春のワルツ』(2006年)の順に作られていったが、今回はあえて春夏秋冬の順で並べてみる。(記事全3回のうち1回目)

■ユン・ソクホ監督「四季シリーズ」、『春のワルツ』を観返してみる

 というわけで、まずは『春のワルツ』。

 こちらは、四季シリーズ最後の作品として制作され、日本でも2006年にNHK衛星第2テレビで初放送された。

 この作品の設定は、少々複雑だ。物語は、デザイナー志望のヒロイン・ウニョンと天才ピアニストのジェハがオーストリアで出会ったところから始まる。ウニョンを見て、なぜか過去の思い出が蘇るジェハ。そこから彼の回想が始まるのだが、その思い出に登場するのはジェハではなくスホという名の少年だった。スホとは、いったい誰なのか?

 すでに認知度のある俳優を主役に据えた前3作とは異なり、本作は主人公2人に新人俳優を起用したことでも話題になった。ヒロインを演じたのは、その後、『トンイ』で人気女優の仲間入りを果たすハン・ヒョジュ。主人公を演じたのは、最近は愛憎劇やホームドラマで活躍しているソ・ドヨン

『春のワルツ』(C)KBS

 ソ・ドヨンは、当時はまだ新鮮だったモデル出身俳優で、その手足の長さは今見ても驚く。身長は、187センチ。ハン・ヒョジュも170センチあるので、高身長でスタイルのいい2人は遠目からでも映える。不評の声もあったようだが、2人の色彩豊かで個性的なファッションも色褪せていない。

 ただ、ハン・ヒョジュのほうは、新人女優が演じると初々しさが引き立つ役だが、ソ・ドヨンが演じた自分の過去を隠し続ける天才ピアニストという役柄は、新人俳優としてはかなり難しかったに違いない。韓国俳優といえば演技派、という最近の視点で見ると、やはりちょっと惜しい。

 ちなみに、昨年『エージェントなお仕事』に特別出演していたダニエル・ヘニーが、二番手男子として甘い魅力を発揮しているのも見逃せないポイントだろう。