孤独な主人公の物語とともに目を引くのは、“映像詩人”と呼ばれたユン・ソクホ監督の力量が光る美しい風景を背景にしたシーンだ。
特に四季シリーズ初の海外ロケシーンは大きな見どころである。オーストリアのウィーンやザルツブルクが美しく切り取られている。『ヴィンチェンツォ』のイタリアシーンがCGだったとわかってからは、最近は海外シーンがあっても「本当に現地で撮ったの?」と疑問を抱くようになったが、この頃のドラマは心配ない。穢れのない気持ちで海外ロケシーンをじっくり堪能できる。
また、ユン・ソクホ監督は地方ロケが多いことで知られるが、2人の思い出の場である菜の花畑が美しい全羅南道の青山島のシーンも素晴らしい。特にジェハの回想シーンは、少年時代の純粋さと切なさが詰まった郷愁誘う名場面になっている。
『春のワルツ』は、四季シリーズの中で最後に作られただけあり、最も現在のドラマに雰囲気が近く、最近の韓ドラファンも見やすいはず。後半、少しトーンダウンしてしまうのは残念だが、それでも、前半のあのジェハの純粋な少年時代の描写は、ほかのドラマにはない強烈な魅力があり、今回観返した4作の中でも一番印象に残っている。
■韓流スター、ソン・スンホンと『愛の不時着』ソン・イェジン主演の『夏の香り』
『夏の香り』は、日本では2004年にWOWOWで初放送された。
この作品は、『配達人 ~終末の救世主~』で初の悪役を演じた現役韓流スターのソン・スンホンと、ヒョンビンと結婚し昨年11月に第一子を出産したソン・イェジンが主人公というだけで観る価値があるのでは。
とにかく、この2人が美しい。特に、久々に若き頃のソン・スンホンを見て、「なんてカッコいいんだ」と驚いてしまった。茶髪に腕出しTシャツという出で立ちながら、やんちゃな役ではなく、心に傷を負ったアーティストという役どころ。ソン・スンホンは40代になっても全然変わらないなぁと思っていたが、基本は変わらないけれど、20代の頃はよりみずみずしく、何かが満ち満ちている!
ちなみにソン・スンホンは、『秋の童話』にも出演していて、四季シリーズで主人公を演じるのは二度目。
ソン・イェジンも、これまたかわいい。この頃の彼女は、『ラブストーリー』『私の頭の中の消しゴム』でもそうだったが、純粋を絵に描いたような存在だった。そういえば、『四月の雪』では、年の離れたペ・ヨンジュンと不倫する役を演じるといって注目されていたっけ。