韓国の軍隊の内情をリアルに描き、日本では男性視聴者の心も掴んだ『D.P. -脱走兵追跡官-』。そのシーズン2が7月28日、Netflixでいよいよ配信されるが、すでに配信から2年(シーズン1は2021年8月27日配信)。どんな内容かちょっと忘れてしまったという人も多いかも? ということで、作品を振り返ってみようと再視聴した。

■傑作『D.P. -脱走兵追跡官-』シーズン1の見どころは?

 まず、どんなドラマかを簡単に説明を。

 本作は、脱走兵を連れ戻す“脱走兵追跡官(Deserter Pursuit=D.P.)”という軍の専門職をおそらく初めて扱った韓国ドラマである。というか、現代の韓国軍隊の閉塞感をここまでがっつり描いたドラマは、初なのではないか。『』『他人は地獄だ』での描写も印象に残っているが、2作ともメインテーマで描かれたわけではなかった。

 原作は、ウェブ漫画。実際に軍でD.P.をしていた原作者も脚本に参加した。その現実味を帯びた描写は韓国でも話題になったそうだが、シリアス一点張りではなく、ユーモアやエンターテイメント性も盛り込んだところが本作の真骨頂ともいえる。

 主人公の二等兵アン・ジュノを演じたのは、『刑務所のルールブック』や『スノードロップ』など、これまでも意外に軍人役を演じているチョン・ヘイン。主人公とバディを組む上等兵ハン・ホヨルには、この作品の後、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』にも特別出演した独立映画界の実力派ク・ギョファン

 今となっては、『私の解放日誌』のソン・ソック、『還魂』のシン・スンホ、『弱いヒーロー class1』『悪鬼』のホン・ギョンが、重要な役柄を演じているのも大きな見どころだろう。個人的には『未成年裁判』『弱いヒーロー class1』のイ・ヨンが、チョン・ヘインの妹役として出演しているのにも驚いた。視聴当時は気づいていなかった。

Netflixシリーズ『D.P. -脱走兵追跡官-』独占配信中

 新兵に対する過酷なイジメ、軍組織の腐敗……。本作で描かれるのは、そうした軍内部のことだけでない。D.P.たちが脱走兵を捜索するべく一般社会に飛び出すため、上流階級の兵役不正、家庭内暴力、貧困層の生活難といった外界の社会問題にも触れられていくところが異彩で、“軍”に馴染みのない日本人にもとっつきやすい。

 2回目の視聴となった今回、そんな中で特に目についたのは、軍や軍人の理不尽さをさりげなく突くようなセリフやシーンである。