Netflixシリーズ『D.P. -脱走兵追跡官-』シーズン2(全6話)は期待通りのドラマチックな仕上がりで、一晩で一気に観てしまった。書きたいことはいろいろあるが、唸らされたのはキャスティングだ。

“隣りのおじさん国家代表” 俳優チョン・ソギョンと、『宮廷女官チャングムの誓い』で主人公(イ・ヨンエ)の相手役を務め、アジアの女性視聴者をうっとりさせた美男俳優チ・ジニ。この二人がまさかの憎まれ役を演じているのだ。

■チョン・ソギョンとチ・ジニは悪役になりきれたか?

 チョン・ソギョンは、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』での誠実なKTX運転士役が印象に残っているので、同じKTXやムグンファ号の車内で執拗にジュノチョン・ヘイン)を追い回すシーンはインパクトがあった。

 しがみつくホヨル(ク・ギョファン)を華麗なキックで蹴散らすシーンは、さすがに吹替だろうと思ったが、映像を何度スロー再生しても他の俳優の顔は確認できない。今どきのCGはここまで代役の痕跡を消せるのだろうか。それとも本人が演じているのだろうか。

 そういえば、映画『覆面ダルホ 演歌の花道』で、チョン・ソギョンが主人公(チャ・テヒョン)に腕ひしぎ逆十字固めという関節技をかけるシーンがあった。

 しかし、あれは彼が30代半ばの頃に撮られた映画だ。すでに50歳を過ぎたチョン・ソギョンがあんなダイナミックな蹴りを放つとは考えにくいのだが……。

『D.P. -脱走兵追跡官-』シーズン2では、ジュノ(チョン・ヘイン)が追手を攪乱し、KTX(写真中央)からムグンファ号(写真左)に乗り換えるシーンがあった
ドラマでは壮絶な格闘シーンが展開されたが、現実のムグンファ号車内はのどかで生活感たっぷりだ