ヤン・ドングン(チョン・ジュンファ/飛行能力者)

 劇中、チャ・テヒョンが運転するバスの中で彼の顔を見たときは本当に驚いた。長らく韓国映画を観ている者にとって、ヤン・ドングンはある時期、確実にトップスターといえる存在だったからだ。彼に数話にしか登場しない殺し屋の役を与えるなんて、贅沢としか言いようがない。

 ヤン・ドングンは1987年に子役でドラマデビュー。キム・ギドク監督の映画で屈折した青年を演じた『受取人不明』(2001年)や、人間味のある刑事を演じた『ワイルドカード』(2003年)、ブレイク前のファン・ジョンミンの兄貴分役を演じた『最後の狼』(2004年)、極真空手の大山倍達に扮した映画『風のファイター』(2004年)、日本の中日ドラゴンズでも活躍した宣銅烈(ソン・ドンヨル)に扮した『パーフェクトゲーム』(2011年)などで主役を演じている。そのキャリアから大ベテランのように見えるが、じつはまだ40代前半。泥臭い演技が持ち味の彼の主演映画がまた観たいものだ。

江東駅の南側一帯は有名なウェブトゥーン作家にちなんだカフェ通りになっている 
実際のソウル江東区は超能力者が暗躍するような雰囲気ではなく、東京で言えば足立区北千住のような生活感あふれる下町。ここ数年は高層アパートが増え、江南化が進んでいる。写真は数年前まで存在した生活市場
筆者が案内役を務める日本人向け酒場ツアーでよく利用する千戸洞の大衆酒場