――チャンウクさんとセミさんは夫婦役でしたが、相手にとってどんな夫、どんな妻だと考えながら演じたのですか?
チ・チャンウク まず、お決まりの、形式的な表現や思考から脱しようと努めました。僕は結婚をしたことがないから夫婦の感情はわからないですが、一般的に夫婦は、愛し合わないといけないとか、こうでなければならないといったものがあると思います。そういうものから逸脱したいと思いました。それで、実際に夫婦の間にある感情はどんなものだろうと考えました。その感情的な部分が、ジュンモの場合、僕たちは夫婦だからという理由で単純なものに見えないよう願いました。
イム・セミ チャンウクさんが今お話したように、典型的な夫婦の姿ではありません。韓国では「戦友愛」と言いますが、結婚したり、一緒に育児をしたりすると、夫婦は義理を守る間柄になるじゃないですか。ジュンモとウィジョンの場合は、夫婦というより、「あなた」を守る方法を模索する関係でした。私たちが「明日どうすればもっと幸せになれるか」ということより、一緒に生きていく方法について悩む「私たち」というか……「あの人はどうしたら無事でいられるのか」を考える夫婦だったようです。少し独特な夫婦関係と言えますね。
チ・チャンウク 僕ははじめ、ジュンモにとってウィジョンはものすごく大きなジレンマであり、いろいろな複雑な感情を与える人だと思いました。一方で、個人的にウィジョンとの関係がものすごく面白く感じられたんです。観る方もいろんなことを考えるのではないかと思います。彼女に対する愛から、もしくは自責の念から、または執着から、または嫉妬のようなものから、ジュンモのなかでいろいろな感情が生まれては壊れ、変わっていく。そういう姿がとても面白く感じられました。
イム・セミ ジャンルとしてはノワールですが、アクションも多くて、3人の関係性のドラマも合って……本当に楽しく観られると思います。
――ウィ・ハジュンさんは、江南を取り仕切るボスという役どころでしたが、どんなボスだと思って演技をしましたか?
ウィ・ハジュン 僕は、麻薬組織のボス、チョン・ギチョルを美化したいと思って演じたシーンはまったくありませんでした。ただギチョルの立場で見ると、僕はボスとして部下たちが違う人生を生きられるように助けたい、組織自体は不法で間違ったことをしているけれど、部下たちはちゃんと真っ当な仕事をして、お金を稼いで、自分たちの人生を自分たちで生きていけるようにしてあげたい、そういう気持ちを持ったボスの姿を表現したいと思って演じました。