ジュノ(2PM)主演ドラマ『赤い袖先』では、イ・サン(ジュノ)がその右腕ホン・ドンノ(カン・フン)をいかに寵愛してきたかとともに、彼が美男子で人気がある!ということが描かれているシチュエーションが多い。
一方で、ドンノは企みに満ちた人物であり、その恐怖にドギムが何度も陥っているのをみながら、ドンノ憎し!と思ったことは1度や2度じゃないはずだ。
■『赤い袖先』でカン・フンが演じた側近ドンノのモデル、ホン・グギョンはどんな人物?
ホン・ドンノ、歴史上の人物としては、ホン・グギョン(洪国栄)の名のほうがお馴染みだろう。
イ・サンを政敵から守って信頼を得、サンが即位すると最側近に。やがては実の妹を側室に送り込み、その妹がわずか1年で亡くなると、別の王族を養子にして、後継者問題を画策しようとするなど権力への欲がエスカレート。ついには流刑され病死したあの男である。
実は、イ・サンの母である恵慶宮(ヘギョングン)ホン氏とホン・グギョンは遠い親戚だ。その先祖は、宣祖(ソンジョ)の姫、貞明公主(チョンミョンコンジュ)とその夫のホン・ジュウォン(ドラマ『華政〈ファジョン〉』主人公カップル)。いわゆる豊山ホン氏一族なのである。
本家の血筋が恵慶宮ホン氏であり、分家筋がホン・グギョンと覚えておけばいいだろう。その恵慶宮が記した回顧録『閑中録(ハンジュンロク)』(「恨中録」「泣血録」と記される場合もある)でも、ホン・グギョンのこともかなり記されている。それもかなり辛辣にだ。以下、同書の人物評を引用しながら紹介する。
1748年、ホン・ナクチョン(洪楽春)の子として生を得たホン・グギョンが、科挙に受かったのは1772年のこと。『閑中録』によれば、放蕩もので、酒も色も好み、まともなところのない輩だったゆえに一族は父子ともども見捨てていたようだ。
だが、ほらがうまく、肝っ玉が太く、天も地も恐れないこの人物が、芸文館(国王とその周辺の動静を記す部署)の役人として長く宮中にいるうちに、ときの王、英祖(ヨンジョ)に気に入られ、「わが孫のように思う」といわしめたのだとか。
「世孫(イ・サン)とは年格好も同じぐらい、容姿も美しく、機知に富み、敏捷。世孫はこれを一目見て愛し、さらに見ていよいよ愛し、寵愛が盛んになった」
恵慶宮が、ホン・グギョンが美男子だったことは認めつつ、それ以外のことは基本的に苦々しく思っていたことはその後の文章から伝わってくる。