■ナチュラルボーン“悪女”『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』イム・ジヨン

 ソン・ヘギョと名脚本家キム・ウンスクが贈る衝撃のリベンジドラマ『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』でブレイクしたのは、いじめグループのリーダーであり、世界の中心にいないと気が済まないパク・ヨンジンを怪演したイム・ジヨンだろう。

『ザ・グローリー』のパク・ヨンジンは、いってみれば“ナチュラルボーン悪女”だ。

 ヨンジンにとって、人を人として扱わないことは、なにか特別な思いがあっての行動ではない。金持ちの遊び……とでも思っているかのようだ。

 そんな彼女の勝ち誇った顔と半分だけ口角のあがった笑顔の恐怖。忘れられない表情のひとつになった。そして、あの笑顔が壊れるときを待ちながら、ドラマを観た人も多いだろう。

 ソン・スンホンと禁断の愛に挑んだデビュー映画『情愛中毒』(2014年)以来、ジャンルレスで活動してきたものの、“華”の部分で少し足りなかった彼女が、悪女キャラで見事にブレイク。CMやバラエティにもひっぱりだこに。キム・テヒとW主演した『庭のある家』では夫のDVに悩まされるどん底ヒロインを、『国民死刑投票』では正義感あふれる警察官と、まったく違うカラーのキャラクターでドラマを牽引した。振り幅の広い演技派として今後の活躍も間違いなしだ。

『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』はNetflixにて独占配信中

Netflixシリーズ『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』独占配信中

■強烈な存在感で圧倒!『ペントハウス』キム・ソヨン

 2020年〜2021年にかけて全3シーズン、高級タワーマンションの住人たちの欲望と復讐の行方を怒涛の展開で描き、社会現象を生んだ愛憎劇の金字塔『ペントハウス』。かつて一世を風靡した『イヴのすべて』(2000年)以来の悪女役で第二の全盛期を迎えたのがキム・ソヨンだ。

 『ザ・グローリー』のパク・ヨンジンは生粋の悪女だったが、『ペントハウス』の声楽家のチョン・ソジンは、闇落ち悪女と言ってもいいのかもしれない。怒り、劣等感、保身で悪事を重ねていくのだから。

 高校時代、一度も勝てなかった相手にプライドを傷つけられ、怒りのあまりに彼女の声を奪った。タワマンに住む建設王と不倫の上に彼の妻殺害にも協力した。己の地位を守るために、夫を捨てて財力も権力ももつ男と再婚を選んだ。欲望と野心、そして保身のために闇に落ちていくのである。

 さまざまなドレスを着こなし濃い口紅を塗った彼女のゴージャスな風貌、大きなまなこをさらに広げて金切り声&ワナワナと震えながら怒る姿が脳裏に焼き付いて離れない。一方で、刑務所でアリアを歌いながら両頬をリズムよく引っ叩かれる姿もインパクトがあった。我が子のためになら、地獄へと突き進む姿は憐みをも呼んだ。

 ありえない設定と展開に怯むことなく、この突き抜けた「悪の華」を堂々と演じたキム・ソヨンは、2021年のSBS演技大賞で大賞を単独受賞したほか、第57回百想演技大賞の女性最優秀演技賞などにも選ばれている。

 バラエティなどを見ればわかるが、普段は笑顔いっぱいでチャーミングなキム・ソヨン。劇中の爆発力は天下一品だ。

●衝撃の完結編!『ペントハウス』シーズン3のNetflix配信は3月3日(日曜日)からスタート

『ペントハウス』(C)SBS