私が「三炭アートマイン」を訪ねたのは2015年の夏だった。美しい自然に恵まれた風景を見たくて旌善旅行を計画したのだが、昔の炭鉱跡地を利用した施設があることを知り、興味を抱いたからだ。

「三炭アートマイン」は、韓国北東部にある咸白山(ハムベクサン)の中腹、標高約850メートルの場所にある。2001年に廃鉱になるまで約40年間の炭鉱の歴史や炭鉱夫たちの暮らしぶりを再現した、博物館と芸術作品の展示が共存するミュージアムだ。

「三炭アートマイン」に到着してまず目に留まるのが、凛とそびえ立つ竪坑櫓(たてこうやぐら)だ。

 炭鉱夫たちが炭鉱内との行き来や採掘された石炭の荷揚げをするためのエレベーター棟で、存在感のある姿にしばし見入ってしまった。

「三炭アートマイン」でまず目に留まるのが竪坑櫓(たてこうやぐら)というエレベーター棟だ

 エントランスの向かいには、500メートルほど傾斜が続くかつての坑道がある。その入口には「父さん!今日もご無事で 아빠!오늘도 무사히」という祈りの言葉が掲げられているのが印象的だった。

かつての坑道の入口に掲げられた「父さん!今日もご無事で 아빠!오늘도 무사히」という文字に胸が痛くなる

●三炭アートマインへのアクセス

ソウル複合バスターミナルから古汗・舎北公営バスターミナルまで約2時間50分。そこからタクシーで約11分。