さらに、韓国で1,600万人以上を動員した2019年の大ヒット映画『エクストリーム・ジョブ』では、捜査のために偽装チキン店の店長になった成績不振の麻薬捜査班リーダーに扮した。

 妻(キム・ジヨン)や娘(チェ・ジョンウン)の前でなにかと肩身の狭い思いをする役で、娘に小遣いをせびられたとき、接待を禁ずる法律「キム・ヨンラン法」の話題を持ち出すシーンは笑ってしまった。

映画『エクストリーム・ジョブ』観賞後はチキン屋に直行する人も多かった

 ディズニープラス スター配信の大ヒット作『ムービング』では、自分の特殊能力を受け継いだ少女(コ・ユンジョン)の父親役に扮して、熱い人情ストーリーを担った。

 最新作のNetflixミステリーコメディ『タッカンジョン』でも、鶏料理のタッカンジョンになってしまった娘(キム・ユジョン)の父親役を演じているリュ・スンリョン。アン・ジェホン扮する部下とともに、娘を助けようと体を張って奮闘する姿はコミカルで感動的だ。

 もうおわかりだろう。変身したリュ・スンリョンの役柄の共通性は、「娘思いの愚直なアボジ(父)」である。

 家族主義が強固な我が国では、「娘思い」はオファーの多いキャラクターだ。そして、「愚直なアボジ」は家柄・学歴・語学力などのスペック競争に疲れた人々の共感を得やすい境遇である。

 十年がかりで独自のキャラを確立したリュ・スンリョンからしばらく目が離せそうにない。