パク・ヒョンシク主演の韓国時代劇『青春ウォルダム~運命を乗り越えて~』では、物語の鍵を握るのが「呪いの書」と「一家毒殺事件」である。(以下、一部ネタバレを含みます)
「呪いの書」は、世子イ・ファン(パク・ヒョンシク)のことを「兄を毒殺した」と名指しする悪魔の予言書であり、謎めいた展開のツボになっている。また、「一家毒殺事件」はヒロインのミン・ジェイ(チョン・ソニ)を犯人に仕立てる陰謀であり、彼女は逃亡後にイ・ファンに接近して自らの無実を訴えた。
こうして共に苦しい境遇に追い込まれた2人が、「真実」を探求する過程がドラマで詳しく描かれている。
なお、本作は『青春ウォルダム 呪われた王宮』というタイトルで、NHK BSP4KとNHK BSで放送中である。
■『青春ウォルダム』パク・ヒョンシク扮する世子、恋に苦悩する美しき孤高の姿
イ・ファンにとってミン・ジェイは、尊敬する師匠の娘だ。しかも、幼なじみで今は王宮の兵士長になっているハン・ソンオン(ユン・ジョンソク)の婚約者でもある。それだけに、決して愛してはいけない女性であったはずだ。
とはいえ、人間の感情は望み通りに抑制できない。常にイ・ファンの表情が晴れないのは、「呪いの書」によって精神的に追い込まれていることが主因なのだが、同時に、徐々にミン・ジェイに惹かれていく気持ちを抑えられないことも一因になっている。
しかも、彼女は両親と兄を毒殺した容疑者なのだ。無実を必死に訴える真摯な姿勢に心を動かされて、イ・ファンはミン・ジェイを東宮(トングン)の内官としてかくまった。さらに、コ・スンドルという偽名まで用意した。
そこまで信じ切っていたのに、ミン・ジェイの情夫と思われる男が自殺して、遺書には彼女への情愛を示す内容が記されていた。強烈に裏切られた気持ちがして、イ・ファンはミン・ジェイを王宮から追い出してしまった。
イ・ファンはミン・ジェイを詰問して情夫の存在を非難したが、彼女は真っ向から情夫の存在を否定して、遺書の内容の偽りを指摘した。彼女もまた、イ・ファンと同様に何者かによって呪いをかけられているのかもしれなかった。
イ・ファンも冷静になってみると、どうしても消せない感情が残った。そのときに彼は自覚した……ミン・ジェイのことを愛してしまったのではないか、と。何よりも、イ・ファンはミン・ジェイを疑った自分を恥じたのだが、その贖罪の気持ちが自分の心中にあった「許されざる愛」を覚醒させるきっかけになった。