■『母とわたしの3日間』ロケ地慶尚北道・金泉の郷土料理・ケンシギ

『母とわたしの3日間』のチンジュの故郷は、韓国中東部にある慶尚北道・金泉(キムチョン)市。東部には金烏山(クモサン)、南西部には黄岳山(ファンアクサン)をはじめとした千メートルを超える山々がそびえ、平野部ではぶどうやすももなどの農業や、黒豚の畜産が盛んな地域だ。

 黄岳山の麓には、新羅時代の418年に阿道(アド)和尚が創建した直指寺(チッチサ)がある。

金泉を代表する観光スポット、直指寺の本堂である大雄殿

 寺からタクシーで10分足らず北東へ移動すると、広大なぶどう畑のなかに黄土壁の民家が現れる。「線路脇のオマクサリ」という面白い店名の食堂だ。入口へのアプローチには、線路のような枕木が配されている。

 外壁には昔の農機具や甕などが貼り付けられていて、店内には柱時計やタイプライター、公衆電話など、懐かしの品々が展示されている。

広大なぶどう畑の中にひっそりとたたずむ食堂「線路脇のオマクサリ」

 この店では、慶尚道の郷土料理であるケンシギを食べることができる。熟成キムチを使ったおなのだが、一般的なキムチ粥とは一線を画している。ごはん、スジェビ(すいとん)、カレトッ(棒状の餅を斜めに薄くスライスしたもの)、ククス(素麺)、豆もやし、と炭水化物を中心に具だくさんなのが特徴だ。

 数種類の韓方薬剤を使ったスープで煮込んでいるそうで、熟成キムチの味わいと相まって、どことなく懐かしさを感じるとともに深みのある味になっている。

慶尚道の郷土料理・ケンシギは熟成キムチを使った具だくさんのお粥

●金泉へのアクセス

ソウル駅から亀尾金泉駅までKTX(韓国高速鉄道)で約1時間30分