■『Missナイト & Missデイ』を彩る地方都市の風物、マウルバス、縁台、甕、井戸etc…

 ミジンは、自宅が地方都市のはずれのタルトンネにあるので、市街に行くにはマウルバスを利用する。このバスも田舎アイテムのひとつだ。

 緑色の車体はソウルでもよく見かけるが、日本のみなさんも旅行中に見かけたら「びっくりバスツアー」だと思って乗ってみてほしい。旧市街の中心部で乗れば、ほとんどの場合、西村の北西の水聲洞渓谷や大学路の東の駱山公園、南山の頂上近くの解放村のような見晴らしのよいところに連れていってくれる。マウルバスの巡回範囲は広くないので帰りの心配もしなくていい。

南山の頂上近くにある解放村を走るマウルバス
映画『チャンシルさんには福が多いね』の舞台、弘済洞のケミマウルを登るマウルバス

 1話でマウルバスを降りたミジンが腰かけたのは、バス停のベンチ代わりに置かれたビョンサン(縁台)だ。『涙の女王』に出てきたビョンサンは、都会の人と田舎の人を隔てる壁を取り去る役割を果たしていたが、ミジンのそれはひたすら孤独な縁台だった。

 ミジンの家では味噌や醤油を手作りしているらしく、庭には甕がいくつも並んでいる。これも都市部ではなかなか見られない光景だ。彼女はその甕のひとつにソジュを隠していた。やけ酒でラッパ飲みするミジンがかわいい。

江原道で見かけた大規模なチャントクテ(漬物や調味料の甕置き場)

 甕のとなりには井戸がある。我が国の田舎、なかでも植民地時代に日本人が多く住んでいた町には井戸が多くあった。

『Missナイト & Missデイ』は、この井戸で物語が大きく展開する。ここでシム・ウンギョンナ・ムニ主演映画『怪しい彼女』の写真館を思い出す人もいるだろう。今後の展開が楽しみだ。

忠清南道の南端、論山市の江景邑で見かけた井戸。この街には日本人が多く住んでいた

●配信情報

Netflixシリーズ『Missナイト & Missデイ』独占配信中

演出:イ・ヒョンミン『力の強い女 ト・ボンスン』『ごめん、愛してる』、チェ・ソンミン 脚本:パク・ジハ『グッド・キャスティング〜彼女はエリートスパイ〜』

出演:イ・ジョンウン『私たちのブルース』『椿の花咲く頃』、チョン・ウンジ『酒飲みな都会の女たち』『応答せよ1997』、チェ・ジニョク『恋の記憶は24時間~マソンの喜び~』『皇后の品格』