2023年、韓国で観客動員数500万人を突破した大ヒット映画『密輸 1970』が、7月12日より日本で公開中だ。メガホンを取った『モガディシュ 脱出までの14日間』のリュ・スンワン監督が、大鐘賞映画祭で監督賞を受賞、青龍映画祭では最優秀作品賞を含む4冠に輝いたクライム・アクションの大作である。

 本作の舞台は1970年代の港町、主人公の海女を演じるのは『シュルプ』のキム・ヘスと『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』のヨム・ジョンア。2大女優が繰り広げる海女バトルがすさまじい。

 さらに、密輸王のクォン軍曹(チョ・インソン/『ムービング』)、ジンスクにとって弟のような存在だったが、チンピラになったドリ(パク・ジョンミン/『ただ悪より救いたまえ』)、税関係長(キム・ジョンス)と、海女たちを取り巻く人物たちにも注目だ。(以下、一部ネタバレを含みます)

■大ヒット韓国映画『密輸 1970』見どころ紹介!1970年代の港町を舞台に海女たちが大勝負!

●『密輸 1970』ストーリー

 1970年代半ば、韓国西海岸の港町クンチョン。化学工場の廃棄物により海産物が汚染され、海で働く海女たちは失業の危機に瀕していた。そんなある日、海女のひとり、チュンジャ(キム・ヘス)が、海底から密輸品を引き上げる仕事をしようと提案する。

 漁船の船長の娘で海女のリーダーであるジンスク(ヨム・ジョンア)は、気乗りしなかったが、海女仲間の生活を守るために汚れ仕事を請け負うことにする。ところが、何度目かの作業中に税関に摘発され、すきを見て逃げたチュンジャ以外の海女たちは収監されてしまう。

 2年後、ソウルに逃げていたチュンジャは、再びクンチョンに姿を見せ、ジンスクに新たな密輸の儲け話を持ちかける。チュンジャへの不信感がぬぐい切れないジンスクだったが、果たして再び密輸の道へ足を踏み入れるのか……。

●見どころ

 映画制作会社の副社長が、ある博物館で「1970年代に海女たちが密輸に加担した」という記録を目にしたことが、『密輸 1970』製作の発端だったそうだ。

 1975年12月の釜山日報(新聞)では、「男女密輸特攻隊26人が、釜山港に入港する外国船から10年間に亘りテレビやミシンなどを密輸した罪で摘発された」と報道されたという。

 そんな海女たちと密輸品を横取りしようとする輩たちとの海中バトルが、スリリングに描かれている。また1970年代ファッションや1970年代の音楽を楽しむことができるのも、この映画の見どころのひとつだ。