古今東西のドラマや映画を見てきて、一番痛感するのは「脚本が命」ということ。これに尽きる。どんなに豪華キャストを揃えても、どんなに制作費をつぎこんでも、脚本が良くなければ作品は生きてこない。究極的に作品の質を決めていく一番の要素は脚本なのだ。
そこで、歴代の韓国ドラマで、個人的に脚本が最高傑作だと思うドラマを8本選んでみた。(以下、一部ネタバレを含みます)
■歴代韓国ドラマ最高傑作選「脚本ベスト」8本!
●『冬のソナタ』(2002年)/脚本:ユン・ウンギョン、キム・ウニ
最愛の初恋の人を交通事故で失ったユジン(チェ・ジウ)が、10年後にそっくりな人と出会って感情を揺さぶられる……そのストーリーが秀逸だったし、サスペンス要素に満ちた展開に心を打ちぬかれた。
何よりも、ここまで人を愛すことができるユジンが羨ましかった。振り返っても、次回の続きがこんなに見たくなるドラマは、20数年経った今まで他になかった。
●『宮廷女官チャングムの誓い』(2003~2004年)/脚本:キム・ヨンヒョン
チャングム(イ・ヨンエ)とハン尚宮(ヤン・ミギョン)による美しい師弟愛は、この世を肯定的に受け入れる際の根源となった。まるで「記憶の宝物」のような時代劇。同時に、名セリフの宝庫でもあった。
「たとえ水でも器に盛られた瞬間から料理になる」をはじめとして、心に響く名言がドラマを彩っていた。
●『応答せよ1997』(2012年)/脚本:イ・ウジョン、イ・ソンヘ、キム・ランジュ
「高校生当時」と「現在」という異なる時代を並立させて、「結婚したのは誰か」という謎を最後まで隠していく展開が見事だった。さらに、毎話奮発されるギャグのセンスも一流であり、初恋を抒情的に描く手法も天下一品だった。「応答せよ」シリーズ3部作は傑作揃いだが、やっぱり『応答せよ1997』が珠玉だった。
●『ミセン-未生-』(2014年)/脚本:チョン・ユンジョン
新人の契約社員チャン・グレ(イム・シワン)が競争の激しい商社でクセがありすぎる上司や先輩に徹底的に鍛えられていく……その中で社内の人間模様を詳細に描く脚本家の力量に感服した。
さらに、オ・サンシク課長(イ・ソンミン)の人間味あふれる生き方に感動。「こういう人の部下になりたい」と心底から思わせてくれた。
●『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』(2018年)/脚本:パク・ヘヨン
日の当たらない薄幸な人に優しい光を届けるのが韓国ドラマの真髄だとすると、まさに象徴的な作品だった。全編にわたって様々な愛が交差する……親子愛、兄弟愛、郷土愛、そして、恋愛。
すべての隣人をいとしく思わせてくれる物語に身を任せていると、自然と快感に酔いしれることができた。この作品が視聴者に示してくれたのは、間違いなく「ドラマ愛」であった。
