韓国ドラマ美女と純情男』が描いた「住まい」の重さ

 ふと、イム・スヒョン&チ・ヒョヌ主演の波乱万丈な恋愛ドラマ『美女と純情男』(2024年)を思い出した。

 主人公の女優ドラ(イム・スヒャン)の母・ミジャ(チャ・ファヨン)は、借金取りに追われるなか、家主の高齢男性に頼って生活を支えてもらっていた。恋人のようにふるまっていたが、ある日突然態度を変え、罵倒された家主はショックで倒れ、そのまま亡くなってしまう。

「さすがにこれは極端な話」と思っていたドラマの展開が、ソウルでの暮らしを重ねるうちに、どこか現実味を帯びて感じられるようになった。「住まい」が人間関係や感情と深く絡み合う点では、フィクションも現実も、そう変わらないのかもしれない。

 韓国で「部屋を借りる」とは、単なる不動産契約ではない。それは、時に人間関係という名のドラマとセットで始まる。立地や間取りももちろん大事。でも最後にものを言うのは、「誰と隣り合って暮らすか」。

 そんなことを考えながら、今日もまた上階からの生活音に耳をすませている。次の引っ越しまでの物語は、まだ続いている。

『美女と純情男』Licensed by KBS Media Ltd. (C)2024 KBS. All rights reserved

●作品情報

[2024年/全50話(日本版DVD全72話)]演出:ホン・ソック 脚本:キム・サギョン

出演:チ・ヒョヌ、イム・スヒャン、チャ・ファヨン、コ・ユン、パク・サンウォン、イ・イルファ

Licensed by KBS Media Ltd. (C) 2024 KBS. All rights reserved

DVD販売元:TCエンタテインメント