最大の見どころは二人の表情や碁石をつかむ指の演技だ。喜怒哀楽の感情は勝負ごとにはつきものだが、対局中なのでそれらを抑え気味に表現するのが肝である。
これまで、『JSA』『エターナル』『KCIA 南山の部長たち』などで繊細な表情演技を見せてくれたイ・ビョンホン。『ワンドゥギ』『バーニング :劇場版』『声もなく』などで熱い感情を静かに表現してくれたユ・アイン。演技力+アルファのある二人でないと成立しない良質な映画だ。攻めて勝つ師匠と守りと計算で勝つ弟子の戦いは哲学的でもある。
本作に近いテイストの映画として挙げられるのは、師匠と弟子のような関係をソル・ギョングとピョン・ヨハンが演じた『茲山魚譜 チャサンオボ』だろう。
配信全盛時代、スマホやPCで視聴するのがあたりまえになると、どうしても“ながら見” になりがちだが、久しぶりに画面に釘付けになる良作と出合った。
●配信情報
Netflix映画『スンブ: 二人の棋士』独占配信中