前作『おつかれさま』で済州島(チェジュド)出身の純朴なヤン・グァンシクを演じていたパク・ボゴム。新作の『グッドボーイ』では不器用な性格を拳でカバーするような「ぶっきらぼうキャラ」に扮している。序盤の第4話までを見ているかぎりでは、主人公ユン・ドンジュは周囲との関係でやたらと波風を立てまくっている。(以下、一部ネタバレを含みます)
■パク・ボゴム最新主演作『グッドボーイ』、元ボクシング金メダリストが警察官に
タイトルは『グッドボーイ』だが、ドンジュは人間関係においては「バッドボーイ」そのものだ。警察という組織の中で、上司の指示にはまったく従わず、同僚とは揉め事ばかり起こしている。
しかし、人生の信条は実に立派なのだ……それは「恥ずかしくない生き方」。著名な詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ) は『序詩(ソシ)』の中で「空を仰いで少しも恥じることがないように」と詠ったが、その詩の一節から『グッドボーイ』のドンジュは自分なりの信条を得ている。何よりも、今は亡き母親が詩人と同じ名前も授けてくれていたのだ。
しかし、現実はどうなのか。果たして、「恥ずかしくない生き方」が実践できているのかどうか。とりわけ、警察署の同僚であるキム・ジョンヒョン(イ・サンイ)を敵視して、ちょっかいばかり出している姿は見苦しかった。なぜ、素直になれないのか。ジョンヒョンが、同僚のチ・ハンナ(キム・ソヒョン)の恋敵だからなのか。あるいは、そもそも生い立ちに原因があるのか。
ドンジュは子供の頃から街のはぐれ者だった。喧嘩ばかりしていて厄介者になっていた。たまたま留置場に入っているときに母が亡くなってしまい、自分の惨めさを思い知った。改心してボクシングに取り組むようになり、国際大会で金メダルを獲得した。
幸いに、スポーツのメダリストを警察が特別採用する制度ができたおかげで警察官になり、インソン市(架空の都市)に赴任した。そこは、悪がはびこる街だった。憤ったドンジュは悪を拳で成敗しようという気持ちが強くて、がむしゃらに走って殴りつけている。しかし、ミスが多すぎるのだ。
彼には辛い記憶がある。ボクシング選手時代、代表決定戦で仲間のイ・ギョンイル(イ・ジョンハ)に大けがをさせてしまった。ドンジュはギョンイルが手術で全快できると信じて、そのための貯金を続けていた。しかし、そのギョンイルが轢き逃げ犯にされてしまい、さらには命まで奪われた。