1778年、正祖を支えた重臣のひとりで知られるチェ・ジェゴン(蔡済恭)について清国を訪問。帰国後は、見聞を著書『北学議』にまとめている。そのころから、俳優チョン・ヘインの先祖としても知られる実学者チョン・ヤギョン(丁若鏞)とも親交を深め、当時清国に広まっていた最先端の技術や学問も学ぶことを主張するようになり、計4度、清国を訪れている。

 庶子出身者たちにも官職への道を開いた正祖によって、1779年、リュ・トッコン、イ・ドクム、ソ・イス(徐理修)とともに王立図書館である奎章閣(キョジョンガク※)の初代検書官に登用される。検署官とは庶子出身者のために設置された役職。主な仕事は、奎章閣の官僚たちの補佐、書籍の校正と書写などだった。とくに文章力、筆跡が重要視され、学識と才能が卓越した者たちが選ばれた。

 それから13年にわたり、正祖をはじめとする国内の著名な学者たちと深く付き合いながら多くの本を編纂した。チ・チャンウクが演じたことでも知られるペク・ドンス(白東脩)とは『武芸図譜通志』の編纂をともに行っている。

 また、身分差をなくし、軽んじられていた商業や工業を奨励して国家を強くし国民生活を向上させるため、清国の最新技術が学問を受け入れるよううったえている。一方で、漢語(中国語)は文字の根本であるとし、朝鮮語を捨て中国語を用いるべきだとの主張を残したことでも知られている。

 正祖亡き後は、その過激な主張の数々が、当時力をもっていた老論派のなかでも保守で知られる僻派(正祖の政敵としても有名)から疎まれ、1801年、凶書(不吉な予言や批判の張り紙)で、民衆を惑わせた時派のユン・ガキ(尹可基)と姻戚だという理由で流刑になった。1804年に赦免されるも病のせいで翌年56歳で一生を終えている。

 さて、そんなパク・チェガだが、とにかくグルメの大食漢だったそうで、冷麺をどんぶり3杯と餃子100個を一度に食べるありさまだったと、その豪快な食べっぷりを紹介されている。加えて、友人で甘党のイ・ドクムが、「貴重な甘いものをみんなに分け与えずに一人で食べる、自分がもらった甘味も勝手に盗んで食べてしまうパク・チェガを叱ってほしい」とソ・イスに頼む文が残されている。一方で、カッとなりやすい性格でトラブルの多かったという記録も残っている。

 王イ・ジョンが願う奴婢制度廃止のために尽力するユン・ガプ、粥を鍋ごと食べ尽くす、カボチャ飴に並々ならぬ愛着を示すカンチョリの姿も、破天荒で知られたパク・チェガの、大食感、甘党ぶりがキャラクターに反映されているのかもしれない。

※奎章閣:歴代宣王の直筆・著述、遺品、国内外の書籍を収集・保管・管理・研究する王立図書館。

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●配信情報

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