映画のようなオープニングから強く引き込まれる『私たちの映画』が、ディズニープラス スターで独占配信中だ。

 5年前にデビュー映画が大ヒットしたものの、その後、メガホンを握る機会に恵まれない新人映画監督イ・ジェハ(ナムグン・ミン/『恋人〜あの日聞いた花の咲く音〜』『ストーブリーグ』)と、余命宣告をされているが、俳優の夢を諦めきれず、今を懸命に生きる女優の卵イ・ダウム(チョン・ヨビン/『いつかの君に』『ヴィンチェンツォ』)との人生を描く究極のラブロマンスだ。

 韓国で映画館に行くと、本編が終了するや観客たちは席を立ち、エンドロールに興味がないのか、その場を離れていく姿をよく目にする。エンドロールにこそ、作り手の思いが込められていると思う私は、いつももったいなく思っていた。劇中、そんな私の思いと重なるジェハとダウムの行動と、映画を見守る温かいまなざしが登場し、序盤から強くシンパシーを感じた。(以下、一部ネタバレを含みます)

■ナムグン・ミン&チョン・ヨビン主演の究極ラブロマンス『私たちの映画』見どころ

 映画界の巨匠、イ・ドゥヨン監督を父に持つイ・ジェハは、自ら脚本も手掛けたデビュー映画の製作発表の日に父の訃報を知る。映画は大ヒットしたが、その後5年もの間、ジェハにはメガホンを握る機会は訪れなかった。

 そんなある日、ジェハは、親友でプロデューサーのプ・スンウォン(ソ・ヒョヌ/『悪の花』『殺し屋たちの店』)から、生前父ドゥヨンが脚本・監督を務めた映画『白い愛』のリメイク版の監督を任せたいと提案される。父と女優キヌ・ジニョ(イェ・スジョン/『マエストラ』)とのスキャンダルに苦しむ母の姿を見てきたジェハは、きっぱりと断る。そんなとき、ジェハは、不可思議な言動をするイ・ダウム(チョン・ヨビン)と、何回も遭遇する。

『白い愛』について、自分が知らなかった事実を知ったジェハは、余命いくばくもない女性と恋人との愛を描く同作品を、現代の設定にリメイクしたいと考え始める。ヒロインの心情を理解するために、医師から紹介されたアドバイザーに会ったジェハは、それが何回も偶然の出会いをしたダウムで、余命宣告患者であることを知り驚く。しかも、ダウムは、ヒロインのオーディションに現れ、さらにジェハを驚かせる……、と物語の序盤はこんな展開で始まる。

 チョン・ヨビンといえば、『ヴィンツェンツォ』では、悪と戦う颯爽とした弁護士を、『いつかの君に』では、たまたま同じ容姿だが、まったく別の時代の他人の中にタイムワープする女性という大変難しい役を演じた。その演技力の高さが、本作を牽引しているといえる。

 同じ病に倒れた母(ムン・ソリ/『おつかれさま』『クイーンメーカー』)から独創的な性格を引き継いだダウムは、毎日を懸命に生きている。そんなダウムの言動が、どこか冷めたジェハに強い刺激を与える。

 そんなジェハを演じるナムグン・ミンの憂いのある目の演技に、実力派俳優の貫録を感じる。ジェハがリメイクする劇中映画『白い愛』の内容も楽しみだ。

 トップ女優のチェ・ソヨンを演じるイ・ソル(『D.P.-脱走兵追跡官-』『男と女~7年目のジレンマ~』)、『いつかは賢いレジデント生活』で4年目の研修生を演じたソ・イソ(キム・ジョンウ役)の共演にも期待が高まる。演出は『調査官ク・ギョンイ』のイ・ジョンフム、脚本ハン・ガウンとカン・ギョンミンの共作である。

●配信情報

『私たちの映画』ディズニープラスにて独占配信中

[2025年/全12話]監督:イ・ジョンフム 『調査官ク・ギョンイ』『誰も知らない』 脚本:ハン・ガウン、カン・ギョンミン

出演:ナムグン・ミン『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』『わずか1000ウォンの弁護士』『キム課長とソ理事~Bravo! Your Life~』、チョン・ヨビン『ヴィンチェンツォ』『いつかの君に』『恋愛体質~30歳になれば大丈夫~』、ソ・ヒョヌ『悪の花』『熱血司祭 シーズン2』、イ・ソル『悪い刑事~THE FACT~』『D.P.- 脱走兵追跡官~』

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