2001年にソウルの弘済洞(ホンジェドン)で実際に起きた火災惨事事件をもとに、命がけで人命救助に奔走する消防官たちの姿を描いた映画『消防士 2001年、闘いの真実』が、日本で公開中だ。

グッド・ドクター』『製パン王キム・タック』など多数のドラマに出演するほか、ミュージカルや歌手と、幅広いジャンルで活躍中のチュウォンが、主人公の新人消防士チョルンを演じている。(以下、一部ネタバレを含みます)

■チュウォン主演映画『消防士 2001年、闘いの真実』見どころ紹介

 一流大学を卒業したチョルン(チュウォン/『ザ・ミッドナイトスタジオ ~恋人は訳ありカメラマン~』)は、先輩のヨンテ(キム・ミンジェ/『捜査班長1958』『犯罪都市』シリーズ)に誘われて、新人消防士としてソウル市・西部消防署に配属される。

 カン隊長(ユ・ジェミョン/『ハルビン』『劇映画 孤独のグルメ』『梨泰院クラス』)、班長のジンソプ(クァク・ドウォン/『KCIA 南山の部長たち』『哭声/コクソン』)、ヒョジョン(オ・デファン/『オク氏夫人伝』『ジョンニョン スター誕生』)、キチョル(イ・ジュニョク/『広場』『私の完璧な秘書』)、ヨンテの妹でキチョルの恋人・ソヒ(イ・ユヨン/『インサイダー』『ザ・ソウルメイト』)など、諸先輩たちへの挨拶もそこそこに、消防署内に火災発生のブザーが鳴り響く。

 チョルンたちの仕事は、消火活動を行うほかの消防士たちの傍ら、酸素ボンベを背負い、火の粉を潜り抜けながら、火災現場に取り残された市民を救い出す救助隊だ。火災現場では生と死が隣りあわせ。ひとつの判断を間違うことで、尊い命を失うことになる。ジンソプ班長の妻ドスン(チャン・ヨンナム/『未知のソウル』『となりのMr.パーフェクト』)は、いつもそんな夫を心配している。

 右も左もわからない新人消防士のチョルンだったが、先輩たちから罵声を浴びながらも、地道に成長していく。そんな息つく暇もない日々を過ごす救助隊のチョルンたちにとって、行きつけの食堂でクッパを食べながら酒を飲むひとときが、束の間の憩いの時間だ。

 そんなある日、そのクッパ店が入ったビルで火災が発生。チョルンたちは生存者を探しにビルへ潜入するが……。

 物語はこのような展開で、緊迫したクライマックスへと続く。

 映画を見ると、当時の消防士たちは、防火対策には全く不十分な装備や環境のなか、文字通り命がけで人命救助にあたっていたことがよくわかる。

 また、消防車が通るのがやっとの狭い道路の両端にびっしりと停められた車のせいで、消防車が火災現場に近づけず、それが消火活動や人命救助の妨げとなっていることを知る。

 本作のモチーフとなったのは2001年3月4日未明に起きた「弘済洞火災惨事事件」。この事件が大きな教訓になり、韓国の消防体制が整備され、消防士の待遇が改善されたという。

 つらいストーリーではあるが、燃えたぎる炎のなかでの俳優陣の迫真の演技をじっくりと見てほしい。演出は、『友へ チング』のクァク・キョンテクが務めた。

●作品情報

『消防士 2001年、闘いの真実』シネマート新宿ほか全国公開中

[2024年/106分]監督:クァク・キョンテク 脚本:クァク・キョンテク、キム・ヨンデ、チェ・クァンヨン

出演:チュウォン、クァク・ドウォン、ユ・ジェミョン、イ・ユヨン、キム・ミンジェ、オ・デファン、イ・ジュニョク、チャン・ヨンナム

配給:アルバトロス・フィルム

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