――ウンシム役のナ・ムニさんは1960年代から活躍し、『私の名前はキム・サムスン』(2005年)、『思いっきりハイキック!』(2006年)などのドラマや、『怪しい彼女』(2014年)ほかの映画で日本でもよく知られています。キム・ヨンギュン監督ご自身も、長く演技をご覧になってきたと思いますが、今回、ご一緒されて新たに感じたことはありましたか。
「様々なキャラクターを演じてこられ、演技の幅が広い俳優だということは知っていました。実際にお会いすると、まるで少女のようで、心とマインドがとても若いと感じました。また、作品について自分の考えを伝えるときには、ストレートでタフな面もありました。いったい、普段どんなふうに生活されていたら、こんなふうに様々な面を同時に持つことができるのか、という疑問を持ちました。
いろいろお話をうかがってみると集中力がとても高い。普段から歌を練習したり、本や脚本を読んだりして、集中力を高める努力しているのだそうです。カメラの前に立つ瞬間のために、ほとんどの時間を費やしていらっしゃるという印象を強く受けました。本当に尊敬しています」
――監督は、この映画の主人公であるウンシムやグムスンの子どもたちと同世代に当たりますね。ご自身の経験や感じたことを反映した部分はありますか。
「はい。年齢が近いので、彼ら彼女らには私自身の視線が投影されています。特に息子たちは本当に幼くてダメな子どもたちですよね。ただ、映画を作りながら、子どもたちの視線が出過ぎてはいけないという点には気をつけていました。なぜなら、この映画はナ・ムニさんという俳優から始まった80代の方々の物語であるからです」(後編に続く)

●キム・ヨンギュン監督プロフィール
1969年生まれ。数々の短編映画で評価された後、『ワニ&ジュナ〜揺れる想い〜』(2001年)で長編デビュー。その後もホラー『赤い靴』(2005年)、ロマンチックな時代劇『炎のように蝶のように』(2009年)、ウェブ漫画に込められた呪いを読み解く『殺人漫画』(2013年)と、多彩なジャンルの作品を手掛けている。
●『最後のピクニック』あらすじ
事業に失敗した息子ヘウン(リュ・スンス)から助けてほしいと泣きつかれ、言葉を失うウンシム(ナ・ムニ)。友人で姻戚関係にもあるグムスン(キム・ヨンオク)が訪ねてきたのをきっかけに、長年、足を向けることのなかった故郷に戻る。かつて自分に思いを寄せていたテホ(パク・クニョン)とも再会し、心穏やかな時間を過ごしていたウンシムだったが、自分と同様グムスンも体の不調を抱えていることに気づく。
●劇場公開データ
9月12日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国ロードショー
配給:ショウゲート
公式サイト:https://picnic-movie.jp/
[2024年/韓国/114分]監督:キム・ヨンギュン『ワニ&ジュナ〜揺れる想い〜』
出演:ナ・ムニ『おつかれさま』『ナビレラ-それでも蝶は舞う-』、『怪しい彼女』(映画)、キム・ヨンオク『Pachinko パチンコ』『キング・ザ・ランド』『悪魔なカノジョは裁判官』、パク・クニョン『追跡者〔チェイサー〕』『花よりおじいさん』
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