Netflix配信中の『テプン商事』終盤、カン・テプン(2PM)が社長を務めるテプン商事は、1998年当時の経済危機の中で、どのように立ち直っていくのか。テプン社長とオ・ミソン(キム・ミンハ)の奮闘ぶりに注目したい。(以下、一部ネタバレを含みます)

■Netflix『テプン商事』で韓国らしい美風を実現するカン・テプンの生き方!

 物語が後半に入ってストーリーの鍵を握っていたのが「借用書問題」だった。

 今やすっかり大企業となったピョ商船。その代表であるピョ・バクホ(キム・サンホ)は、9年前に不渡りを出す寸前まで追い込まれ、カン・テプンの父親だったカン・ジニョン(ソン・ドンイル)に助けてもらった。

 4000万ウォンを借りる際に提示したのが、株式の30%を譲渡するという約束だった。それを記した借用書をピョ・バクホはカン・ジニョンに渡している。

 しかし、カン・ジニョンが亡くなったあと、借用書の行方がわからなくなった。ピョ・バクホが必死に捜したのに見つからなかった。とはいえ、本物がなくてもその存在を有効に生かしたのがカン・テプンだ。

 彼は大胆な手口でピョ・バクホと巧みな交渉をして、手術用手袋の納品を無事に済ませることができた。その成果によってテプン商事は乙支路(ウルジロ)の事務所に戻ることが可能になった。

 この段階で、『テプン商事』は1998年6月の韓国社会を描いていた。当時の世相は厳しい過度期にあった。「IMF(国際通貨基金)危機」と称された不景気によって街には失業者があふれていた。結果的に、韓国らしい「情を重んじた経営」も通用しなくなってしまった。

 そんな時代を背景にしながら、カン・テプンが社長として相変わらず守り通したのが、社員を家族と見なす「温情経営」だった。

 彼は、何よりも社員の生活を守ることを最優先したカン・ジニョンの背中をよく見ていた。その父親が急死したことで、テプン商事の社員たちは離散してしまったが、若きカン・テプンが父親の意志を継いで、もう一度「温情経営」を取り戻そうとした。

 そのためにも、創意と工夫で事業を発展させなくてはならない。カン・テプンはアイディア満載のやり方で商機をつかみ、ときにはピョ・バクホを前にして大バクチを打って抜群の行動力を見せつけた。かつてはナイトクラブにいりびたるような遊び人だったのに、180度違う生き方を見せて、ふたたびテプン商事を再生していった。

Netflixシリーズ『テプン商事』独占配信中