年末年始の冬休みほど、腰を据えて連続ドラマを一気見できる機会は他にない。なんといっても休みが長いし、外が寒すぎるので暖かい部屋のほうが居心地がいい。そんなドラマ三昧の日々にお薦めの作品を厳選紹介しよう。今回選んだ切ないラブロマンス3本は、まさに「珠玉」と呼ぶにふさわしい推しドラマだ。

■冬休みに見るべき切ないラブロマンス3選!若き日の恋、困難に立ち向かう愛は、なぜこれほど情熱的で美しいのか

■『五月の青春

 1980年に起こった光州事件をモチーフにしている。現代史の重要な出来事を背景にしながら、緊迫した場面で交わされる愛の記憶が鮮烈だった。

 物語の序盤は暗示的だ。2021年、光州の工事現場で白骨と遺留品の懐中時計が見つかった。時間は一気に1980年5月へと巻き戻っていく。この導入だけでも、過去が決して終わっていないことを強く語りかけてくる。

 そして、医者の卵であったファン・ヒテ(イ・ドヒョン)と光州の病院で働く看護士キム・ミョンヒ(コ・ミンシ)の一世一代の恋が描かれる。2人が交わす視線や言葉は、その一瞬一瞬が宝石のように輝いている。

 ミョンヒの親友イ・スリョン(クム・セロク)、スリョンの兄のイ・スチャン(イ・サンイ)……この2人も物語に厚みを加える存在だった。さらに、ヒテの父で学生運動家を弾圧するファン・ギナム(オ・マンソク)の残酷さは背筋が凍るほど不気味であった。

 そして、2人のラブロマンスは激動の中で終盤を迎える。ここではラストを語らないが、韓国ドラマの中でも屈指の名シーンが最後に待っている。

『五月の青春』U-NEXTにて独占配信中 Licensed by KBS Media Ltd. (C)2021 KBS. All rights reserved

●配信情報

『五月の青春』U-NEXTにて独占配信中

[2021年/全12話]演出:ソン・ミニョプ 脚本:イ・ガン

出演:イ・ドヒョン、コ・ミンシ、イ・サンイ、クム・セロク

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■『私たちの映画

 喧騒から距離を置いて静かに集中して見るのにぴったりなドラマだ。

 映画監督のイ・ジェハ(ナムグン・ミン)は、デビュー作で高い評価を受けながらも、その後の5年間をスランプの中で過ごしていた。彼が次に選んだのは、巨匠だった父親が1990年代に監督した映画『白い愛』のリメイクだった。

 映画のヒロインは余命宣告を受けている女性。その役作りのアドバイスをしてくれたのがイ・ダウム(チョン・ヨビン)だった。実はダウム自身も余命わずかな無名の女優。そんな彼女がなんと、『白い愛』のオーディションに現れ、ジェハの前で驚くほど達者な演技を披露した。

 こうしてジェハとダウムは、監督と主演女優という立場で向き合うことになる。

 ダウムの病状、プロデューサーや投資者の反発、娘を案じる父親の強硬な反対など、映画制作の道は困難に満ちていた。しかしダウムには、死を前にしてなお「生きていた証」をこの世に残したいという、揺るがぬ信念があった。

 その切実な思いが、映画制作という営みの中で少しずつ形を得ていく。その過程を、本作は丁寧に描いていた。

 ナムグン・ミンは、感情をあえて表に出さない主人公を、穏やかで優しいまなざしで演じた。その抑制された表現がドラマに深い余韻を与えていた。

『私たちの映画』ディズニープラス スターにて独占配信中 (C)2025 SBS & Studio S. All rights reserved.

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『私たちの映画』ディズニープラスにて独占配信中

[2025年/全12話]監督:イ・ジョンフム 脚本:ハン・ガウン、カン・ギョンミン

出演:ナムグン・ミン、チョン・ヨビン、イ・ソルソ・ヒョヌ、ソ・イソ

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