Netflix恋の通訳、できますか?』で改めて主演俳優としての力量を見せたキム・ソンホ。彼が2021年に主演した人気作が『海街チャチャチャ』だった。ダブル主演を務めたのがシン・ミナ。2人が演じる主人公は風光明媚な港町を舞台に、魅力的な輝きを放っていた。(以下、一部ネタバレを含みます)

■港町の人々が織りなす日常風景が物語に温かみを運ぶ傑作『海街チャチャチャ』

 シン・ミナが演じるのは、大都会のソウルからワケありで小さい港町へと流れ着いた歯科医のユン・ヘジンである。彼女は美しい海辺の町で、デンタルクリニックを開院することになった。

 慣れない新生活をサポートしたのが、キム・ソンホが演じるホン・ドゥシクだ。彼は町の人々から「ホン班長」と呼ばれ、とても親しまれている。持ち前の器用さを活かしてあらゆる困りごとを解決するという、地域に欠かせない「よろず請負人」なのである。

 当初、プライドが高くて気の強いヘジンは、馴れ馴れしい彼に対して反発ばかりしていた。衝突を繰り返すことも珍しくはなかった。しかし、ホン班長は彼女の冷たい態度を受け流すほどの広い心を持っていた。

 ヘジンの不器用さをホン班長が優しく見守るうちに、やがて2人の間には甘い恋心が芽生えていく。

 ドラマは、次々と大きな事件が巻き起こるという展開を売りにしてはいなかった。物語の筋書き自体は極めて素朴である。時にはストーリーが緩やかに感じられる場面もあった。それでも最後まで視聴者を釘付けにした熱量がたっぷりと存在した。

 絵画のように美しい港町コンジンの景色に加え、2人を取り囲む個性豊かな町民たちの存在が大きかったと言える。そんな人々が織りなす悲喜こもごもの日常風景が、物語に温かい血を通わせていた。

 だが、本作は単なる陽気なラブコメではない。明るく振る舞うホン班長の胸の奥底には、誰にも明かせない深刻なトラウマが存在していたからだ。

 故郷を離れて過ごした5年という空白の期間に、彼を深く傷つける出来事があった。ひどい悪夢に苦しみ、精神科に通院するほど心は壊れていた。その謎に包まれた過去が徐々に紐解かれていき、物語は息を呑むような終盤へと突き進んでいく。

Netflixシリーズ『海街チャチャチャ』独占配信中