ハ・ジョンウイム・スジョンシム・ウンギョンなど豪華なキャスティングで話題のドラマ『韓国でビルオーナーになる方法』は、億単位の借金をして小さなビルを手に入れた主人公が差し押さえの危機に瀕する物語だ。

 映画『しあわせな選択』『パラサイト 半地下の家族』や、ドラマ『イカゲーム』『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』『ウンスのいい日』などに共通する現実の韓国人が直面している苦悩がベースになった物語は、フィクションとはわかっていても身につまされてしまう。本作の見どころと演技者の魅力をお伝えしよう。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『韓国でビルオーナーになる方法』は、もうひとつの『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』

 物語の構造は、大企業をクビになったリュ・スンリョン扮する主人公が人生の一発逆転を狙うドラマ『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』によく似ている。

 ただ、キム部長がやや時代遅れのプライドに固執しているのに対し、『韓国でビルオーナーになる方法』のスジョン(ハ・ジョンウ)は地域の再開発に乗じてビルをより高く売りたいという実利的欲望が強い。その背景には、聴覚障害をもつ娘に米国で手術や教育を受けさせたいという切実な事情がある。

 また、キム部長があくまで常識の範囲で望みを叶えようとするのに対し、スジョンは目的のためには手段を選ばないところがある。日本で公開中の映画『しあわせな選択』のマンス(イ・ビョンホン)ほどの凶行には及ばないものの、キム部長とマンスの中間くらいのキャラクターといえるだろう。

ソウルでビルのオーナーになったり、高層アパートに住んだりするのは韓国人の夢

■シム・ウンギョンはゾンビ役以来の怪女役

 そんなスジョンだから、周囲の人間たちも魑魅魍魎そのものだ。

 一見、『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』でキム部長を支えた妻(ミョン・セビン)と似たタイプに見える妻ソン(イム・スジョン)にはなにやら秘密がありそう。イム・スジョンは『パイン ならず者たち』に続いての悪女役だ。

 スジョンにビル売却を迫る建設会社のヨナ(シム・ウンギョン)の冷酷さには底知れぬ闇を感じる。シム・ウンギョンは、『サニー 永遠の仲間たち』の初々しい高校生役、『怪しい彼女』のはつらつとした娘役、『サイコキネシス 念力』の父思いの健気な娘役などが記憶に鮮明なので、本作での怪女キャラはインパクト絶大だ。恐怖を感じさせる役は『新感染 ファイナル・エクスプレス』のゾンビ役以来かもしれない。

 また、日本映画『新聞記者』や『旅と日々』出演を経験して磨きをかけた、日本語のナチュラルさも聴きものである。

『韓国でビルオーナーになる方法』第3話でいったん危機を乗り越えたスジョン(ハ・ジョンウ)とソン(イム・スジョン)が互いをいたわり合ったのは庶民的なチキンHOF(ビアホール)だった