韓国で1997年に起こった経済危機を背景にしていたNetflix『テプン商事』。父親の急死にともなって中小企業の社長になったカン・テプン(ジュノ/2PM)は、ビジネスの経験が不足していたが、優れた人間力で会社を立て直していった。情にあつくて思いやりがあるテプン。主人公として近年まれにみるナイスガイだった。
■2PMジュノ主演『テプン商事』ビジネスに慣れていなかった主人公が会社を立て直すことができたのはなぜ?
まずは一般論から話を進める。韓国ドラマには、明確な必勝パターンが存在する。それは、運命的な巡り合わせから始まり、至福の結末へと至る王道の展開である。人生に立ちはだかる数々の試練を乗り越えていく過程を細かく描くのが、韓国ドラマの最大の持ち味だと言える。
主人公の男性像にも明確な傾向がある。大企業の御曹司という設定が非常に多い。これは世の女性が思い描く究極の理想像を具現化したものかもしれない。容姿端麗で莫大な資産を持つ。しかも若さがありながら、会社の重要ポストを任されている。
一方で、ヒロインとなる女性は過酷な環境で育った場合が多い。つまり、境遇の違う男女が主役同士となるのだ。社会的地位が両極端の2人を巡り合わせる。そして、その強烈なギャップを鮮明に対比させていく。
さらに、主人公2人の周囲には大勢の人物が登場し、極端におせっかいなほどに主役に絡んでいく。こうした人間模様の機微を緻密に描写することこそが、韓国ドラマの真骨頂なのである。
物語を牽引する上で、もう一つ欠かせない要素がある。それは、一部の例外を除き、男性主人公に弱点が多いことだ。そういう弱さがあるので、周囲の人間がこぞって救いの手を差し伸べる。その結果として、主人公は常に受け身の姿勢となる。
しかし、受動的であって一向に構わない。むしろ、そのほうが物語の起伏を無数に生み出せる。もしも主人公が自らの力だけであらゆる壁を突破してしまったら、ドラマはあっという間に完結してしまうかもしれない。
『テプン商事』もそうだった。主人公のテプンはビジネスのイロハすらよくわかっていなかった。それでも、強力な助っ人がいた。テプン商事の経理を担当するオ・ミソン(キム・ミンハ)である。彼女がとてつもなく有能で、テプンを見事にフォローしていた。それによって、テプンは会社を立て直すことができたのである。