Netflix配信中のヒューマンドラマ『誰だって無価値な自分と闘っている』。主人公は、映画監督を目指しながら20年間もデビューできないファン・ドンマン(ク・ギョファン)と、彼を理解する映画会社社員のピョン・ウナ(コ・ユンジョン)である。そして、ドンマンの「天敵」になっているのが、名バイプレイヤーのオ・ジョンセが演じる映画監督のパク・ギョンセだ。(以下、一部ネタバレを含みます)

■注目作『誰だって無価値な自分と闘っている』オ・ジョンセの名演技で人間の嫉妬深さや情けなさが縦横無尽に表現されていく

 このドラマでひんぱんに描かれるのが、大学の映画サークルの先輩後輩で結成された「8人会」のメンバーたちだ。

 この中で、映画業界でおちこぼれているドンマンは、成功した仲間に嫉妬して、辛辣な批評を繰り返している。反感を買って出入り禁止になっても、「8人会」にしつこくからんでくる。特にやり玉に挙げたのが、新作映画が公開されたばかりのギョンセだった。

Netflix『誰だって無価値な自分と闘っている』独占配信中

 ギョンセの新作映画は興行的に大惨敗。失意のギョンセは、浴びた悪評をわざわざ口に出しながら山を登っていく。それが彼なりの立ち直り方なのだ。

 それでも、我慢ならないのが、レビューと称してドンマンがネット上に書き散らかした悪評の数々だった。これだけは我慢できなかった。

 ギョンセは反逆に出る。「8人会」のグループトークにドンマンへの非難を徹底的に繰り返した。それは、彼の人間性を否定する文章で埋め尽くされていた。

 かくして、ドンマンとギョンセの舌戦は常に一触即発の状況となった。

 単純に言えば、ギョンセがドンマンを相手にしなければいい、と思ってしまう。それなのに、彼は異様なほどドンマンの言動に苛立ち、憎悪を募らせている。まるで、自分の弱さを隠すために、意図的にドンマンを標的にしているかのように……。

 ギョンセの妻コ・ヘジン(カン・マルグム)は映画会社の代表であり「8人会」のメンバーなのだが、その彼女が「ドンマンを相手にしないで」と願っても、忠告を無視してギョンセはドンマンに異様なほどの敵対心を持っていく。

 こうした一連の展開になって、物語の面白さが際立ってきた。ドラマに起爆剤を持ち込んだのは、ひたすら演技派の極致をのぼりつめているオ・ジョンセだ。