韓国のゴールデングローブ賞ともいわれる「百想芸術大賞」。今年(第62回)の授賞式は5月8日(金)に開催される。

 ドラマとして、最多ノミネートされているのは『未知のソウル』と『ウンジュンとサンヨン』だが、個人的に期待しているのは、『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』である。

■2026年「百想芸術大賞」作品賞&最優秀演技賞ほか、おすすめノミネート3作紹介!

『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』は、テレビ部門の作品賞、最優秀演技賞(男性)、助演賞(女性)、助演賞(男性)、演出賞にノミネートされているが、そのうちいずれか、もしかしたら大賞を受賞するのではないかと思っている。

 ダークホースとして注目している作品は、何といっても『パイン ならず者たち』だ。『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』で最優秀演技賞(男性)に名を連ねるリュ・スンリョンは、この作品でも主演している。

『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』同様、本作もいくつかの部門でノミネートされており、厳密にはダークホースと言えないかもしれないが、日本ではあまり話題にならなかったので、未視聴の人や、どんな作品が知らない人も多いのではないだろうか。

『パイン ならず者たち』は、映画『犯罪都市』やディズニープラスのシリーズ『カジノ』などを手掛けたカン・ユンソン監督と、ドラマ『ミセン-未生-』の原作者で映画『インサイダーズ/内部者たち』などの脚本を担当したユン・テホ作家がタッグを組んだ一作である。激動の70年代の舞台に、沈没船の財宝をめぐってワケありの男たちの激しい奪い合いが描かれていくクライムアクションドラマだ。

 作品賞、助演賞(女性)、新人演技賞(男性)、芸術賞で名を挙げられているが、まさにこのノミネートは、作品の魅力を語るのにちょうどいい。

 さまざまな事情を抱えたクセのある登場人物が、数多登場する本作。ヤン・セジョン東方神起ユンホ以外は強面の演技派俳優ばかりの中、存在感を発揮していたのが助演賞(女性)にノミネートされたイム・スジョンだ。

 イム・スジョンが演じるのは、沈没船の引き上げ資金を出す年老いた成金夫の妻。未だに『ごめん、愛してる』のイメージが強い彼女だが、その後に数多くの映画作品に出演し、今や40代半ばの実力派女優となった。そんな彼女が今回はさらに演技変身を果たし、儲ける話にぐいぐい食い込んでいくちょっと厚化粧の成り上がり会長夫人を熱演している。物語の重要なキーパーソンとして、最後の最後まで盛り上げる。

 助演賞(女性)は、『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』でリュ・スンリョンの妻役を演じたミョン・セビンも期待大だが、これまでとは違う迫力を見せたイム・スジョンが受賞する可能性もあるような気がする。

 また、芸術賞は、SFXを評価されてのノミネートとのことだが、70年代の街並みなどとともに目を見張ったのが、男たちが財宝を引き上げようとして海に潜る際の水中シーンの映像だ。

 2024年に日本公開された映画『密輸 1970』にも似たシチュエーションがあったが、同作の海女たちが人魚のように見える引き上げシーンとはまったく違った。宇宙服のような水中着を着て入水する海の中は、水流が激しく視界不良で、水中の恐怖がじわじわくるシーンなのだ。それはまるで、財宝に群がる人々の底知れぬ欲望を表しているかのようなシーンでもあった。

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