農村で化粧品の原料になるキノコ栽培をする天才研究者マシュー・リー、通称メチュリ(アン・ヒョソプ)と通販番組のカリスマМCダム・イェジン(チェ・ウォンビン)が主人公のNetflixドラマ『本日も完売しました』は、恋愛ドラマであり、お仕事ドラマでもある。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『本日も完売しました』アン・ヒョソプ扮するメチュリを悩ませるヨプチプ神経症

 物語も残り2話となり、恋愛のほうは大団円を迎えそうな気配だが、仕事のほうはまだまだ予断を許さない状況だ。

 ダム・イェジンをめぐる恋愛ドラマは、第9話でイェジンのマンションの隣室に化粧品会社の専務エリックキム・ボム)が引っ越してきたことにメチュリが疑心暗鬼になる様子がコミカルに描かれていた。

 心身ともにクールに見えるメチュリだが、こと恋愛となると意外とナイーブだ。イェジンの「隣室」を意味する韓国語「ヨプチプ」という言葉に過剰反応するアン・ヒョソプの三枚目的な演技はファンにはたまらないだろう。

Netflix『本日も完売しました』独占配信中 画像:SBS

 ヨプチプはよく使われる韓国語だ。直訳するとヨプは横、チプは家。つまりお隣さんのこと。マンションで言えば301号室と302号室の関係である。

 ヨプチプにアジョシを付けた「ヨプチプ アジョシと」いう言葉もある。字義通り、隣のおじさんのことだ。これは俳優の比喩にもよく使われる。

『本日も完売しました』で言えば、メチュリのビジネスパートナー、カン・ムウォンに扮するユ・ビョンヒが該当するだろう。また、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』でトングラミのアボジを演じたり、『家いっぱいの愛』『Missナイト&Missデイ』で平凡なアボジを演じたチョン・ソギョンも典型的なヨプチプ アジョシだ。

 我が国ではヨプチプ アジョシがトップ俳優だった時代がある。そう、2000年前後に “興行の保証手形” “すべての映画シナリオはまず彼が目を通す” とまで言われたハン・ソッキュである。彼が隣のおじさんぶりを存分に発揮した映画『八月のクリスマス』は韓国で初めて全国規模でリバイバル上映された名作である。

 そんなハン・ソッキュも還暦を過ぎたが、最近でも『こんなに親密な裏切り者』や『浪漫ドクター キム・サブ』シリーズの演技が高く評価されている。