Netflix『鉄槌教師』が世界的な大ヒットを記録している。原作は同名の人気ウェブトゥーンで、教育現場で起こる様々な犯罪を斬新な手法で正していくというヒューマン・アクションストーリー。舞台となるのはドラマのために架空で設定された「教権保護局」である。(以下、一部ネタバレを含みます)
■Netflix大ヒット中『鉄槌教師』は登場人物たちの葛藤や人間の繊細な心理を垣間見せてくれる
本作の主人公、教権保護局の監督官ナ・ファジンは、各学校に赴き、悪質な犯罪行為を摘発していく。ファジンを演じるのは、キム・ムヨル。かつてミュージカル界のスターであり、社会派ドラマ『未成年裁判』で温情派の判事を演じて、注目を集めた。本作では、抜群の身体能力で、切れ味があるアクションを見せている。
さらに、主人公ファジンを支えるメンバーが強力だ。教育部長官のチェ・ガンソクは、教権保護局の創設者である。扮するのは重鎮俳優のイ・ソンミンで、重厚な演技を見せている。キム・ムヨルとは、『未成年裁判』でも共演している。
ファジンの部下として働くイム・ハンリムは軍人出身。直情型で拳がめっぽう強いというキャラをチン・ギジュが演じている。
そして、教権保護局の事務官ポン・グンデは頭脳派。データ分析で冴えを見せる彼に扮するのはピョ・ジフン(P.O)だ。
以上の教権保護局のメンバーが対峙するのは、暴力学生、イジメの加害者、権力を乱用する悪徳教師、自己中心的なモンスター・ペアレント、賭博常習者、麻薬患者など。こうした犯罪者たちの常軌を逸した行動が容赦なく辛辣に展開される。恐ろしくてドキドキしながら見なければならないかもしれない。
けれど、これらは完全なフィクションだとは言い切れない。現実社会で起こってしまっている犯罪が随所に隠されているのだ。そういう意味において、本作は単なるエンータインメントにとどまらない。現代が抱える病理を浮き彫りにし、社会に強い警鐘を鳴らす役割を持ったドラマだと言える。
しかも、悪に立ち向かうファジンの戦い方は、物理的な制裁だけではない。彼が問題を解決する最大の手法は、犯罪者たち自身の心に働きかけることだ。自分の愚かな行動を意識的に気づかせ、心から反省させるのである。
どんなに手間や時間がかかっても、彼は決して諦めない。相手に自分自身の過ちを自覚させることにファジンは真摯に取り組んでいる。冷徹に見える彼の行動の裏には、実は深い人間愛がある。