ヒューマンドラマ『誰だって無価値な自分と闘っている』で注目を集めたク・ギョファンと、『女神降臨』『瑞草洞<ソチョドン>』のムン・ガヨンが共演する映画『サヨナラの引力』が日本で公開中だ。
メガホンをとるのは『82年生まれ、キムジヨン』のキム・ドヨン監督である。中国映画『僕らの先にある道』のリメイク版で、20代で恋愛と辛い別れを経験した男女が、10年後に偶然の再会を果たすという切ないラブストーリーだ。
シリアスからコメディまで自在に演じ分けるク・ギョファンと、繊細な演技に定評のあるムン・ガヨンのケミストリーが話題となっている。本作でムン・ガヨンは、2026年「百想芸術大賞」の映画部門で最優秀演技賞(女性)を受賞した。(以下、一部ネタバレを含みます)
■映画『サヨナラの引力』ラブストーリーに彩りを添える主人公の父役、名優シン・ジョングンの演技が涙を誘う
北京オリンピックの開催を控えた2008年の夏、大学生のウノ(ク・ギョファン)とジョンウォン(ムン・ガヨン)は、故郷へ向かう長距離バスのなかで出会う。貧しい生活の中で、ウノはゲーム作家、ジョンウォンは建築家という夢を追っている。
気兼ねのない友人として付き合っていた2人は、いつしか愛し合うようになる。しかし、金銭的に苦しい状況に陥ったウノは、家賃や病に倒れた父(シン・ジョングン)の治療費を稼ぐために、夢を捨て就職の道を選ぶ。悲しいかな、その仕事は違法なビジネスだった。
一方、ジョンウォンもウノをサポートするためにマンションのモデルルームで働く。どんなときでも、ジョンウォンはウノへの一途な愛を貫いたが、何もかもがうまくいかないウノは、ジョンウォンに対し疑心暗鬼になる。その姿を見たジョンウォンは、黙ってウノのもとを去る。
10年後の2024年夏、2人はベトナム発ソウル行きの機内で偶然の再会を果たす。天候不良によりフライトがキャンセルになり、残り1室のホテルの部屋で2人は一夜をともに過ごすことになるのだが......。
ウノにとってジョンウォンは、夢を追い続ける苦しい日々の中でも、いつも寄り添い支えてくれる唯一無二の理解者だった。一方、ジョンウォンにとってウノは、自身が憧れる「家」そのものであり、安らげる存在だった。
ウノとジョンウォンが初めて出会った日、ウノの父が温かいご飯でジョンウォンをもてなす。養護施設出身のジョンウォンにとって、ウノの父親の優しさは初めて経験する親子の情愛に近い感情であり、深く心に染みた。ウノを愛するのと同じくらい、ジョンウォンにとってウノの父は大切な存在なのだ。
その後も続くウノの父とジョンウォンの交流場面がとても微笑ましい。ベテラン俳優シン・ジョングンのジョンウォンを包み込むような名演技に心が温かくなる。
本作では青春時代をカラーで、10年後の現在をモノクロで描く演出が印象的だ。それが効果的にラストへとつながり、観賞後には深い余韻が残る。
●作品情報
『サヨナラの引力』全国公開中
[2025年/115分]監督:キム・ドヨン(『82年生まれ、キム・ジヨン』)
出演:ク・ギョファン(『誰だって無価値な自分と闘っている』『脱走』『寄生獣 -ザ・グレイ-』『D.P. -脱走兵追跡官-』)、ムン・ガヨン(『瑞草洞<ソチョドン>』『愛と、利と』『女神降臨』)
提供:KDDI 配給:日活/KDDI
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