■人気の背景にはインドの女神の名が持つ力があった!?

様々なインドの神々を描いた画家、ラジャ・ラヴィ・ヴァルマによるラクシュミ女神像。

Wikimedia Commonsより

 カマラ・ハリス氏のフルネームはカマラ・デーヴィ・ハリス。アフリカ系の父とインド出身の母の間に生まれ、カマラの名は母であるシャマラ・ゴパランさんがつけました。

『カマラ』とは、インドのサンスクリット語で『蓮の花』を意味する言葉で、インドでは『美しさ』『幸福』の象徴として人々に好まれます。また、『デーヴィ』は一般的に『女神』を意味します。
 日本と同じようにたくさんの神々が信仰対象となるヒンドゥー教では、蓮の花を手にした姿で像や絵画が作られる神も多いのですが、中でも主神格のヴィシュヌ神の妃であるラクシュミは蓮の花の化身と言ってもいい美の女神です。

 金色の蓮から生まれたとされ、絵画や像は蓮の花に乗った姿で描かれます。インドの神々にはさまざまな別名で呼ばれることも多いのですが、『蓮の花』そのものを表す『パドマー』や、『蓮の女神』を意味する『カマラ』もラクシュミの別名のひとつです。

 

■女神の力は世界を救う!? これからの副大統領の活躍は……

 インドではバラモン教をはじめ、仏教、ヒンドゥー教などが信仰されてきましたが、その根底にはインダス文明(紀元前2600年~紀元前1900年)の頃よりあったとされる『女神信仰』が深く根付いています。

 カマラ・ハリス氏が支持を集めた背景にそうした意識が働き、地方検事から司法長官、上院議員とサクセスを続けるキャリアに女神としての力を感じさせたのかもしれません。

 キリスト教徒にも『聖母マリア信仰』は人気がありますから、『優しい女神様』のイメージは共感しやすい考え方なのです。

ハリス副大統領と母親のシャマラさん

 カマラ氏を名付けた母シャマラさんは2009年に亡くなっていますが、インドにおける身分制度、いわゆるカーストでもっとも上位にあるバラモンの家系に生まれ、19歳で生化学者を目指して渡米しました。

 著名な乳がん研究者である一方で敬虔なヒンドゥー教徒だった彼女は、娘たちが子供の頃、何度もアメリカにあるヒンドゥー教寺院に連れて行ったといいます。
 ちなみに、カマラ氏の妹のフルネームは、マヤ・ラクシュミ・ハリス『マヤ(マーヤー)』は魔法や幻術に近い『神秘的な力』を意味します。

 姉の選挙運動を支援してきた妹さんも女神の名前を持っているわけですから、ふたりが力を合わせたら下降気味の人気もすぐに盛り返し、それ以上のものすごい力を発揮してくれそうですね。