「怪異が起こるコアタイム」に実際、不可解な現象に巻き込まれつつ(連載第2回を参照)、淡々とオバケ調査を実施していたカチモードの代表・児玉さん。そんな怪異に動じない児玉さんが生涯初の怪異を体験したのは、不動産会社に勤務したての頃のことだったという──。
■管理を頼まれたマンションで…
「当時、物件管理を担当していたんですが、売買仲介会社の営業マンAさんから、ある物件を見てきてくれと言われたんですね」
指定されたのは全9室の小ぶりのマンションで、1階の101号室と2階の201号室が空室で鍵は2階にキーボックスがあるとのことだった。
「翌日の夕方にマンションへ行くと、言われた場所にキーボックスはありました。どちらの部屋も非常にきれいですぐに売れそうでした。管理も楽だし、ラッキーと思いながら、そういえば3階の301号室を見ていないな、と……」
3階に上がり、301号室の電気メーターを見ると動いていなかった。空室だと思った児玉さんは、鍵があれば中をチェックしておこうと思ったそうだ。
「3階にもキーボックスがあったんですが、2階のキーボックスは付け替えたばかりでキレイだったのに、古いキーボックスで蓋もパカパカ空いてました。不用心だなと思いながら、中を見ると『301』と殴り書きした鍵がありました」
鍵を取り出し301号室のドアを開けた瞬間、児玉さんは“ゾクッ”としたという。
■薄汚れた気味の悪い部屋には…
「壁も床も煤のようなもので黒く汚れていて、1階2階と同じマンション? と思うぐらい。しかも狭いワンルームなのに、写真のL判ぐらいの紙を貼ってはがしたような白い跡が部屋中に100ヶ所ぐらいあるんです」
当時はまだ入社して間もなく、とにかく契約が取れたうれしさが勝った児玉さん。気味は悪かったが、(きっとアイドル好きな人が住んでいたんだ。誰が好きだったのかな、AKBかな……)と自分に言い聞かせ、状態確認のために室内の写真を撮り終えた。そして、最後に下駄箱を開けて、中を確認すると、
「茶色というか黄土色というか、変な色の紙があったんです。すごい達筆で何かがびっしり書いてあって、手に取った瞬間『ああ、これお札だ』と直感しました」
実際、その紙を壁に残った痕に合わせると、サイズがピッタリ一致したそうだ。