■事故物件ブームも大家にしたら…

 

事故物件

事故物件、怪談として楽しむ分にはいいが、家主の身になれば……。

画像:Adobe Stock

 事故物件にまつわる怪談が人気だ。殺人事件や自殺が起こり“いわくつき”となった住居を「事故物件」と呼び、そこに住むと怪異に遭うという。夜ごと黒い影が部屋をゆきかい、何者かが寝ている自分の首を絞め、蛇口から長い髪の毛が流れ出る──。

 

 実話怪談として楽しむぶんにはいいが、大家の身になってみれば、ずいぶんとひどい話である。貸した店子が亡くなったうえ、「事故物件」なんて呼ばれて、部屋の借り手がいなくなったのでは商売あがったりだ。

 

 だが、捨てる神あれば拾う神あり。そんな困り切った大家のために立ち上がった不動産業者があるという。その名は「株式会社カチモード」。不動産業とは思えない一風変わった名前だが、「カチ」って事故物件に出る幽霊に「勝つ」ってこと?

 

 そもそも事故物件からどうやって大家を救うのか? 謎だらけのこの会社の真相を伺うため、さっそく同社に取材してみたのだが、いい意味でこちらの予想を裏切ることだらけだった──。

 

 

■社名に込められた意味とは?

 

児玉和俊社長

株式会社カチモードの児玉和俊社長。

賃貸不動産管理会社に15年間勤務後、独立。管理業務と並行し、事故物件の心理的瑕疵の除去を目的に『オバケ調査』を行なっている。

「社名のカチモードですか? 事故物件として下落した価値(カチ)戻(モド)すという意味が込められているんですよ」

 

 そう語るのは同社代表取締役の児玉和俊さん。さっそく予想が覆されてしまった。そうか「物件の価値」か。しかも「事故物件を解決」というからコワモテでスピ系な織田無道のような人を予想していたが、目の前にいる児玉さんは、にこやかな営業マンという印象。

 

 それもそのはず、児玉さんはもともと物件管理を専門に行なう大手不動産会社で十数年間働いていた、バリバリの営業マンだったのだ。そんな児玉さんが事故物件対策に乗り出すきっかけになったのは、営業マン時代の経験からだった──。