■未解決事件の証拠品から考古学的な遺物まで

ブラバンの殺人鬼

ベルギー中を震撼させた連続殺人犯「ブラバンの殺人鬼」の証拠が発見?(写真はベルギー警察が公開した容疑者の指名手配写真)。

画像:REAPER FEED2020年6月17日記事 「The Brabant Killers – The Mass Murderers of Belgium」より

 犯罪ということでは、空前の未解決事件の手がかりがマグネットフィッシングで発見されたこともある。

 

 ベルギーで1981年~1985年に発生した、死者28人、犯人はいまも不明という未解決の連続殺人事件「ブラバントの殺人鬼(通称ニヴェル・ギャング)」に関わる”ブツ”が、2017年、首都ブリュッセル近郊の運河から発見された(注1)。マグネットフィッシング愛好家の若者3人が釣り上げたその「ブツ」とは、なんと、9mm口径の銃弾1000発以上と銃器がぎっしり詰まった2つの箱。地元警察は、

注1/【出典】'Magneetvissers' bezorgen dozen met munitie en wapens aan speurders Bende van Nijvel | De Standaard

 

「慎重に事件との関連を調査するが、何より、こういうものが見つかったらすぐに警察に連絡を」

 

 と警告を発していたが、こんな物騒なものが見つかることも少なくないのだとか。日本でも今年2024年5月から6月にかけて、北九州市小倉の河川敷で銃器や手りゅう弾、ロケットランチャーが見つかったことがあるので、近い将来、銃・爆弾など物騒なものを釣り上げるマグネットフィッシャーも出るかもしれない。
 

 こんな“ヤバい釣果”はごめんだが、こんな考古学的に貴重な遺物を釣り上げた人もいる。

 

マグネットフィッシング

錆びた金属を釣り上げたと思ったら、世紀の大発見に!(写真はイメージです)。

画像:Shutterstock

 2024年3月、イギリス南東部のオックスフォードシャー州の川で、マグネットフィッシングをしていた男性が1000年以上前のヴァイキングの剣を釣り上げた。のちの調査でこの剣は、8世紀から9世紀、デンマークの戦士が所有していたものであることが判明したという。

 

 さらにさらに! 考古学的遺物というより、もはやオーパーツというべき奇妙なモノを発見した例も……。

 

■イギリスの川で古代インド由来の呪物が!?

マグネットフィッシング

イングランドの片田舎の川底から発見された「謎のキューブ」。インド由来の特級呪物か!?

画像:WillRead8888/imgur

 2020年5月、イギリスはイングランドのコヴェントリーの川で、2人の息子とマグネットフィシンングをしていたウィル・リード氏(38歳)が、謎めいた金属の立方体を60個近く発見。その立方体のそれぞれの面には格子状の線と、サンスクリット語だと思われる文字が刻まれていた。


 リード氏は、この立方体が何なのかを知るために、画像をFacebookに投稿。さらに、立方体を発見した場所に二度戻り、近くで古めいた銀貨を発見した。リード氏のFacebookには、

 

「立方体はインド起源で、流水に投げ込むと効果を発揮する呪文が刻まれている」

「立方体の文字は古代インドの数字で魔方陣を形成している」

 

 など様々な人たちがコメントを寄せ、考察合戦が盛り上がった。なお、立方体は一面を除き、すべて同一のデザインで、

 

「これはインド占星術で日食や月食を引き起こす謎の惑星かつ魔神ラーフ(羅ゴウ)の象徴で、ラーフの魔力を召喚する魔方陣だ」

 

 という指摘もある。なお、資料によれば、ラーフが守護するものは「泥棒、魔術師、蛇、毒、刑務所」などが含まれるという。古代インドの魔神だとか、どうにもきな臭い要素ばかりで、何者かがイギリスの川に投げ込んだ特級呪物という可能性も出てきた。

 

■誰が何の目的で投げ込んだのか?

マグネットフィッシング

謎のキューブと一緒に発見されたコインにも不可思議な紋章が……。

画像:WillRead8888/imgur

 さらには、立方体に刻まれた数字をすべて足すと「ナヴァグラハ・ヤントラ」という9つの惑星および神を象徴する幾何学系の護符になるという……と、ほぼチンプンカンプンだが、呪文だの魔神だの、古代インドの魔方陣などなど、中二病に刺さる要素が満載なオーパーツだ。

 

 イギリスの閑静な田舎町の川で発見された、インドの古代文字が刻まれた約60個の金属片。これはいったい何を意味するのだろうか? いつ、誰が何のために祈りの呪文を唱えたのだろうか? この金属の素材や年代測定など、詳しい調査はいまだ行なわれていないが、リード氏は今後、鑑定してもらうつもりだという。


 重大な犯罪の証拠から大金、古代の遺物まで発見される「マグネットフィッシング」によって、歴史の1ページが書き直されることになってしまうかもしれない?