■時価3兆円の財宝を積んだ沈没船
「金銀財宝を積んだ沈没船を見つけることができれば億万長者になれるかも……」
そんな夢を子供の頃に抱いた人は多いのではないだろうか? 実はそんな「夢の沈没船」が実在するのだ。場所は南米・コロンビア沖の海の底。船の前は「サンホセ号」だ。
16世紀に「無敵艦隊」を誇ったスペイン帝国は、1566年から1790年にかけて、植民地と本国を結ぶ「インディアス艦隊」と呼ばれる輸送システムを組織した。サンホセ号もその一部で、農産物から香辛料、絹やタバコ、金、銀、財宝などがスペイン本土へと運ばれたのだ。
サンホセ号は62門の大砲と3本マストを搭載した大型帆船。1708年にコロンビア・カルタヘナ沖でイギリス艦隊と交戦し、スペイン王の戦争資金として南米諸国で集められた金、銀、エメラルド、宝石を積んだまま沈没した。
これに加えて、サンホセ号は1100万ペソ相当の硬貨も積んでいたと推測され、積み荷のすべてを合計すると、その価値は2023年時点で約200億ドル(約3兆円!)相当だと考えられている。規模がデカすぎて想像しにくいが、大阪府の年間予算や大阪万博の経済効果とほぼ同じ額だ。
■2015年、遂に伝説の沈没船発見
財宝積んだ沈没船「サンホセ号」、最新映像公開 コロンビア(2022年6月)
目もくらむような財宝に数百年のあいだ、世界各国の船乗り、探検家、トレジャーハンターたちが「伝説の沈没船」のありかを血眼で探してきた。そして、遂に2015年11月27日、コロンビア政府が、
「伝説のサンホセ号をコロンビア沖の深海で発見!」
と発表した。同国のサルベージ会社がコロンビア沖26キロ、水深600メートルの地点で発見したというが、現在もなお、その正確な場所は国家機密として公開されていない。探査は遠隔操作型の無人潜水艇で行なわれ、船と一緒に見つかった青銅製の大砲が決め手で、サンホセ号と特定されたという。
コロンビアの国家予算の5分の1に当たるお宝が見つかったのだから、さぞやウハウハかと思いきや、ことはそう簡単には運ばなかった──。