■霊的プロ集団とも協力体制を
「それまでは、そういった体験は一切なかったんですけどね……」
と語る児玉さんは、この一件以降、たびたび怪異と遭遇することになった。そして今や、自分から怪異の現場(かもしれない)事故物件と向き合う人生を選ぶことになったのだ。
第1回の記事で触れたように、カチモードの仕事を始めて以降、怪現象と遭遇する確率が尻上がりに高まっている児玉さん。とはいえ、ほとんどの場合は「怪現象ナシ」と報告し、大家や借り主を安心させることができている。
ただ、現状、約1割以上は不可解な現象が起こっており、そうした物件の大家からお祓いを頼まれることもあるそうだ。
「カチモードでは、オバケが出たらビジネス化しようという立場なので、基本的に、お祓いもご供養もしません。もちろん『お祓いしてほしい』というオーナーもいらっしゃるので、お坊さん、神主さん、エクソシストさん、巫女さん、一通りご紹介できます」
■「お祓い」ではなく「ご供養」
事故物件は言ってしまえば「人の生き死に」の現場だけに、言葉遣いも神経を使うそうだ。以前にも「お祓い」と言ったら、児玉さんは僧侶に怒られたという。
「ご遺族のお気持ちになったら、お祓いなんて言えないと思いませんか? と言われて、たしかにと反省しました。それからはご供養と言うようにしています」
事故物件に関わることは、人の死に関わることでもある。
これは以前、女子大生が自殺した部屋でオバケ調査を行なった時のことだ。調査では何も起こらなかったのだが、亡くなった女子大生の両親は「これで娘が成仏していることがわかった」と涙を流して喜んだそうだ。
児玉さんは事故物件の調査という形で死に向き合い、死の落とす「影」を払拭する。そういう意味では、児玉さんがやっていることは、現代の供養の形なのかもしれない。
●取材協力
株式会社カチモード(https://kachimode.co.jp/)